ICC Report



ICCビエンナーレ '99 開催記念講演会

「アートとインタラクティヴィティ」
1999年10月15日 東京日仏学院



 ICCビエンナーレ '99 の開催を機に東京日仏学院主催で講演会「アートとインタラクティヴィティ」が開催された(会場は同学院エスパス・イマージュ).

講師は今回のビエンナーレの審査員であるアンヌ=マリー・デュゲ(パリ第一大学教授)および同推薦委員森岡祥倫(東京造形大学教授)の両氏であった.

最初に,森岡の紹介に続いて,デュゲから「インタラクティヴィティ」についての一般的な考え方が述べられた.要するにインタラクティヴとは作品の完成に観客が参加するということである.観客はスペクテイター(見る者)であると同時にアクター(演じる者)にならなければならない.
歴史的に振り返ってみれば,文学についてロラン・バルトが述べたことにさかのぼることもできよう.すなわちバルトは,読者がテキストをつくると言った.文学作品は読者に読まれることによって最終的に完成する.バルトが読むことは書くことであると考えたのと同じく,インタラクティヴな作品はあらかじめ完成しているのではなく,観客との対話を通じてできあがってゆくのであり,したがって観客との直接の接点となるインターフェイスが重要になり,インターフェイスの設計が作品であるとも言える等々,基本的な問題点が述べられた.
その後ビエンナーレの出品作を簡単に紹介するヴィデオを映しながら,来場している作者から説明があった.フランスのモーリス・ベナユンとジャン=マリ・ダレのほか,エドゥアルド・カック,マーティン・リッチズ,ダグラス・エドリック・スタンレーおよび近森基の各氏が出席した.

(中村敬治)

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