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![]() 「情報」を柱にした大学改革
早稲田大学総長が語る |
大学の伝統強化によって開ける未来 歌田明弘――昨年6月に,情報通信システム研究,情報通信マルチメディア研究,情報通信社会研究の3分野からなる国際情報通信研究センター(GITI)を設立され,来春にはそのセンターに独立大学院も設置されるそうですが,こうした構想をもたれた経緯をまずお聞かせいただけますか. 奥島孝康――情報というものは,この117年の早稲田大学の歴史のなかで,研究・教育の大きな支柱の一つなのです.というのは,大隈重信がこの大学をつくった1882年に,郵便報知新聞――いまの読売新聞ですけれども――を自らが結成した立憲改進党の機関紙としている.そのことにも見られるように,日本の近代化のインフラは「情報」であると考えていた.そういうことが契機になって,早稲田大学は多くのマスコミ人を輩出してきたわけですね. 早稲田大学の伝統を強めることが,大学のアイデンティティをつくることになるわけで,これをしっかり構築しようと考えて,私たちは,情報の問題をとりわけ重視しています.単に情報関係の研究教育で頑張っているというだけではなくて,研究についても教育についても,早稲田大学がいわば御本家というか,総本山になれるような,学問的なバックグラウンドをつくらなければいけない,と思っています. 早稲田大学はいまもう一つの柱としてアジア太平洋研究科をすでに発足させています.アジア太平洋研究科によって,アジア太平洋地域の研究教育のヒューマン・ネットワークをつくっていくというのが一つの目標で,同時に,新しい国際情報通信研究科でアジア太平洋地域におけるメディア・ネットワークをつくっていく.この二つのネットワークを重ね合わせて本学のインフラにしていこうというのが私たちの基本的な戦略です. |
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