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![]() ダンス・フロンティア――身体のテクノロジー |
SHAZAM ! この舞台には三つの要素があります.第一に純粋な「ダンス」.第二にヴィデオやハーフミラーによる「映像」,そして「音楽」.僕はとにかく「動くもの」に興味があるのです.人間の身体だけじゃなくて「モノ」も「映像」も動かしたいわけです.「振付」とは空間と時間のなかでの動きを記述すること,「ダンス」とは動きそのもののことだとすれば,今回のような仕事(映像の使用)も,自分としては「映像に対するコレオグラフィ」であると考えています. 僕が情熱をもっているものは二つあって,それはスペクタクルと映画です. しかし,いろいろなテクニック,いろいろなメディアを混ぜるということは,いまやあらゆるアートで普通に行なわれていることであって,その意味では僕のやっていることもそんなに珍しくはないし,逆にダンスのほうが遅れているということなのかもしれません. MIXING いろんなものを混ぜ合わせたいのです.15歳でサーカス学校に入り,その後マルソーのマイム学校にも行ったし,バレエも,ジャズ・ダンスやモダン・ダンスも習った.でも僕は何かのジャンルを究めたというわけでありません.何のスペシャリストでもない.僕は自分の職業を「ミキサー」だと思っています. 初期の作品には「ロック」というコンセプトがあって,繰り返し(リフ)の構造を用い「短いもの」にすることによって,ロック・ミュージックのようなエネルギーを伝えようとするものでした.次の段階で考えたのは,夢に近い幻想的な世界をつくりたいということです.理解させるというより観客のイマジネーションを刺激する,彼らが自分で夢を見るための刺激になるようなものをつくろうとしたわけです.そして,いまやろうとしているのは最先端のメディアをいかに自分の作品のなかに組み込んでいくかということです.映像と人間の身体の動きに関して言えば,まだまだ発展させるべきものはたくさんある. |
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