![]() | ||
コンピュータ・グラフィックス | ||
| ||
コンピュータ画像とは,コンピュータ・グラフィックスのアウトプットのことである.コンピュータ・グラフィックスとは,それが適当なハードウェア上で動かされると文字だけに限らない何かを見ることができる,というようなソフトウェアのことである.これは一見すると,誰もが知っていることであり,モニター上に見えるものはほかの場合と同じ視覚的な知覚であるように思われる.しかし最近芸術学が「画像とは何か」という問いを学んで以来,それにつづけて「コンピュータ画像とは何か」という問いを発することができるようになった. 1 とはいえ,この「コンピュータ・グラフィックス――半ば技術的な入門」においては,コンピュータ画像とは何かというこの問いには半ばしか答えることにはならない.とりわけ,何かの上に描かれた画像とコンピュータ画像を比較し,あるいはまた減法混色と加法混色とを比較するという必要不可欠な作業には,ここでは立ち入らない.このように単純化したモデルで考えるなら,コンピュータ画像とは三原色を二次元で加算した混合であって,それがモニターの箱の枠ないしその付随物に映し出されるということになる.それは,新流行のコンピュータ・システムのグラフィックな面として控えめに表現されることもあれば,また逆に,リキを入れて「映像」と強烈に表現されることもある.が,いずれにせよ1998年現在の人々は,「コンピュータとコンピュータ・グラフィックスとは同一のものだ」という誤まった考えを何十億人もが一緒になって共有する傾向にあるようだ.もうかなり年端のいったハッカーだけが,その昔は違っていたことをきっとまだ覚えているのであろう.かつて,コンピュータ画像というものは,琥珀色ないし緑色の背景上の白い点にすぎないものだった時代があったのであり,そしてこのことは,技術史的に見るならばコンピュータ画像が例えばテレビに由来するのではなく,戦争メディアであるレーダーに由来するものだということを物語っているのである. レーダースクリーンは,飛んでくる飛行機の証拠として現われるシミを,タテ・ヨコ・高さの三次元いずれにおいても正確にアドレスし,マウスクリックによって打ち落とせなくてはならない. 軌跡と色価という二つの要素が,離散的ないしデジタルであるということから,あらゆる魔法のようなテクニックが可能となる.この点でコンピュータ・グラフィックスと映画やテレビとは大いに異なる. しかし,位置と色価の二重のデジタル性ということから問題も生じてくる.ここではせめてそのうち三つをあげておくこととしよう. | ||
目次ページへ![]() ![]() |