ICC
OS2015
展示作品
《ガーデン・オブ・ルッソロ》
2013年
スズキユウリ

5種類の大きなスピーカーのようなホーンのついた箱状のオブジェは,そのホーンに向かって声や音を発すると,それぞれ異なる加工をされて音が返ってきます.たとえば,音が逆さに再生されたり,音がひずんで雑音のようになったり,ふつうの声が音楽のようにメロディになったり,高い位置のホーンから入った音が,低いホーンから低い音になって出てきたり,その逆に,低い位置のホーンから入った音は,高いホーンから高い音になって出てきたり.また,ハンドルがついているものは,ハンドルをまわす速度に応じて音の速さが変化します.観客の声や周囲の音が,この装置を介して異なる音に変換されます.

これらの装置は,鑑賞者それぞれの働きかけにさまざまに反応し,身体的なコミュニケーションを楽しむことができます.それによって,この装置が設置された場の音環境を変化させ,再創造するような,環境的な作品ともいえるでしょう.

作品タイトルは,20世紀初頭のイタリアで興った前衛芸術運動「未来派」のルイジ・ルッソロにちなんでいます.また,作品の形状も,ルッソロの創作した騒音楽器《イントナルモーリ》を模したものになっています.ルッソロは1913年に「騒音芸術」によって,騒音による音の領域の拡張を宣言しました.それは,機械化,都市化の時代という,新しい時代における感受性の変化を表わすものでした.


制作協力:TASKO inc.

スズキユウリ プロフィール
1980年生まれ.サウンドアーティスト,プロダクトデザイナー.明和電機のアシスタントを経て,英国王立芸術大学(RCA)のデザイン・プロダクト学科卒業.音と音楽が人に与える影響をテーマに制作し,イヴェントのコンテンツ・デザインやワークショップ・デザインも手がける.現在,RCAのデザイン・プロダクト学科助手,BBCレディオフォニック・ワークショップのメンバー.2014年,《Color Chaser》《Ototo》が,ニューヨーク近代美術館(MoMA)コレクションに認定された.
過去に参加した展示・イヴェント

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