ICC
OS2014
展示作品
《frequens》
2014年
志水児王 dot

上:《frequens(dimension)》2012-14年
下:《frequens(linnerscope)》2007-14年
撮影:木奥恵三

志水児王は,レーザー光を用いて作品を作ります.それは,かつて画家たちが,光と対象との関係を考えながら,描くことを通じて,現象としての自然の記述を試みたことと似ているかもしれません.

レーザー光とは,光を増幅するレーザー発振器を用いて人工的に作られる光です.指向性に優れ,光が広がらずに,高いエネルギー密度を持ち,遠くまで光を投射したり,非常に小さな点に収束させたりすることができます.また,干渉性に優れ,物理実験などにも用いられます.

この作品はふたつのパートによって構成されています.ひとつは《frequens (dimension)》(2012-14)で,二種類の音波を組み合わせることで,レーザー光の無数の干渉パターンを作り出し,自作の回転スクリーンに投影することで音の立体モデルを視覚的に作り出すもの.もうひとつは《frequens (linnerscope)》(2007-14)で,細長い水槽を様々なパターンで傾けることによって中に入っている水を運動させ,そこに線と面の二種類のレーザーを照射して,波の反映を線と面として抽出することで,水を直接見るだけでは把握しきれない微細な水の表情を表出させるものです.

志水は,音や水といった対象を,レーザー光を用いて,通常わたしたちがそれらを認識するやり方とは異なる方法で観察することで,対象に内在する微細な要素を視覚化するのです.

志水児王 プロフィール
1966年生まれ.東京藝術大学美術学部大学院修了.おもに音響や光といった波としての振動現象を用いて,現象とその知覚,時空間におけるその変化を記述し,とらえなおす作品を制作している.事物や出来事を対象として,そこから通常のものの見方によってでは見えてこないもの,意識されないものを引き出すことで,出来事に対する認識をあらたにさせ,作品固有の体験を作り出すことを試みている.
過去に参加した展示・イヴェント

関連イヴェント


アーティスト・トーク&パフォーマンス
志水児王

日時:2015年2月15日(日)
午後3時より[終了しました.]
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