ICC

展示作品

《for maria anechoic room version》
2010年
渋谷慶一郎+evala
展示期間:2010年10月5日(火)—2011年2月27日(日)

撮影:新津保建秀

無響室という,音の反響を吸収する特殊な空間に設置された24.4チャンネルのサウンド・システム(1周8個×3層からなる24のスピーカーと部屋の四隅に設置されたサブ・ウーハーによって構成される)は,コンピュータ・プログラムによって完全に制御され,ストロボ・ライトの高速の明滅とともに,音と光の充満する空間を構成します.

この作品は,2009年に山口情報芸術センター(YCAM)で発表された《for maria installation version》の続編になり,完全に密閉された空間で,左右だけではなく縦方向も含む音の運動による三次元立体音響を体験することができます.音の素材となっているのは,CDの128倍の解像度を持つDSDレコーディングによって精緻に録音された渋谷のピアノ・ソロによるCD『ATAK015 for maria』(2009)のサウンド・データであり,そこからピアノの打鍵部分を全てカットし,残響成分のみを抽出,加工,プログラミングしています.無響室は音の反響がほとんどないため,音の動きがより精緻に操作可能になっています.

ソフトウェア開発:池上高志(東京大学),大海悠太(東京大学池上研究室)
協力:フォスター電機株式会社フォステクスカンパニー,株式会社アコースティックフィールド

渋谷慶一郎+evala プロフィール

渋谷慶一郎は,1973年生まれ,音楽家.東京藝術大学音楽学部作曲科卒業.2002年にATAKを設立.2005年より複雑系研究者の池上高志と非線形物理学を応用した「第三項音楽」を展開.その成果として2006年には三次元立体音響によるサウンド・インスタレーション《filmachine》をYCAMで発表.2010年には荒川修作のドキュメンタリー『死なない子供たち』のサウンドトラックを手がける.
http://atak.jp/
→過去に参加した展示・イヴェント

evalaは,1976年生まれ,サウンド・アーティスト.2004年にportを設立.先鋭的な電子音楽作品の発表および上演,様々な媒体や実空間へのサウンド・デザイン,最新テクノロジーを用いたインタラクティヴ・プログラムなど数多くの仕事を手がけ,音を主軸にその活動は多岐にわたる.
http://port-label.jp/
→過去に参加した展示・イヴェント

関連イヴェント シンポジウム「音楽メディア進化論」
日時:2011年2月26日(土)午後6時より [終了しました.]|→詳細|

お知らせ

*この作品は,音の反響のない,完全に密閉された空間で高低周波や光の刺激を伴って体験するものです.そのため,年齢やお身体の具合によってはご体験いただけない場合がございます.
また作品のご体験は,原則お一人様ずつとさせていただきます(体験時間約3分間).そのため,一日にご案内できる人数には制限がございます.会場では整理券発行による予約制で順次ご案内しておりますが,ご来場の時間によっては,ご体験いただけない場合がございます.
以上の点をあらかじめご了承いただけますようお願いいたします.詳細につきましては,フリーダイヤル(0120-144199)までお問い合わせください.