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2002年2月24日(日)—3月24日(日)ギャラリーB
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展示作品 |

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《A Chair with a Soul Left Behind》(魂の残る椅子)
"A Chair with a Soul Left Behind"
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深澤直人 + IDEO
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誰も座っていなくても,今まで誰かがその椅子に座っていたことが分かるものだ.それは勿論そこに残った体温や表面のテクスチャーの変化(例えば服の表面の凹凸の跡のように)や,まるでぬぎすてられた靴にも似た,椅子の向きや背の角度,あるいは背にかけられた上着や座に置かれた書類などからも感じ取れる.ただ,それだけではない別の「何か」が,その存在の痕跡を感じさせてくれることもある.それはまるでその椅子がその人化したような,いうならば魂や影がそこに乗り移ったようにさえ感じてしまう.椅子はオフィス環境の中で最も個人をあらわしているような気がする.オフィスで,ある人の存在をさがす時,ドアの隙間から見える椅子の背からはみ出た肩の丸みや,身体の微妙な動き,あるいは,服の細部のパターンや色などからその人であることを認識する.
この椅子は「その人である」ことをあらわす些細な現象を捉え,痕跡を見せることによって,個人を感じ取ろうとしたものである.
座ると椅子の背中に自分の背中が映し出され,それがその人の動きに同調し,人が立ち去ってもその人の背中の像が椅子に残るというもので,背中の画像は人の動きより少し遅れて動き,座ると少し遅れて背中が現れ,立ち去ると少し遅れて消えてゆく.あたかも自分の魂が視覚化されたような不思議な感覚が得られる.
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