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はじめに |

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ICCはプレ活動から現在までを通して,従来の科学技術と芸術の領域を超えた表現の可
能性を追求し,また物理的空間にも制限されない幅広い活動を目指してきました.今回 のSRLによる「世紀末マシーン・サーカス」は,ICCとしては初めての,大型屋外ショ
ーとネットワークを結合したイヴェントです.
SRL(Survival Research Laboratories)は1978年にマーク・ポーリンを中心に結成 されたパフォーマンス・グループです.1979年以来サンフランシスコにその拠点を置
き,アメリカ,ヨーロッパ各国で40回以上のショーを行ってきました.
さまざまなジャンクなどから,巨大な手作りのマシーンやロボットを作りだし,それを お互いに戦わせたり,演技させるその大規模なショーは,用途や目的,そしてそのため
の機能を剥ぎとられた「生の機械」たちによるマシーン・ユートピアを実現します.そ こには実用的な目的のためだけに機能し使用される,現代のハイテクノロジーによるマ
シーンたちに対する,強烈な皮肉とユーモアがあふれており,それは結果的にハイテク ノロジーに踊らされ,また抑圧されていると感じている,われわれ現代人の心を解放す
るカタルシスをそなえています.1980年代以降,何度も日本での開催が試みられてき ましたが,そのスケールの大きさなどから,実現されませんでした.
ICCは,このSRLの日本初のスペクタクルなショーを,東京渋谷の国立代々木競技場屋 外特設会場で開催すると共に,超高速光回線によりショーの高解像度画像をICCや日本 各地に送り,さらにICCよりネットワーク経由でマシーンをリモート・コントロールす る実験も行います.また準備作業も含めたショーの画像は,インターネットにより全世 界に生中継(ストリーミング)される予定です.広大でリアルな空間で披露される圧倒 的迫力のパフォーマンスを,現在最速クラスのネットワーク環境によって無限の仮想空 間へと拡張を試みる,実験的なイヴェントとなる予定です.
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