ICC





はじめに
入場料
参加作家
イヴェント




レクチャー
10月3日
10月10日
10月11日
10月13日
発表資料:伊福部達
発表資料:入江経一
 
1998年10月 3・10・11・13日 [終了しました.] ギャラリーD





イヴェント


レクチャー第4回:身体・感覚・コミュニケーション(実践編)

講師:伊福部達(北海道大学)


「 目は口ほどにモノを言う」とか「百聞は一見にしかず」というように目からの情報の重要性はあえて強調するまでもない. しかし,視覚がコミュニケーションの手段として本当に役に立つようになるまでには,聴覚からの入力情報がなければならない.聴覚から入った音声という音が言語と結びついて言語概念が形成され,その後,文字言語との結びつきが始まるのである.そのため音声言語しかない民族は多数あっても,文字言語しかない民族は存在しない.また,生後まもなくする親とのコミュニケーションは身体であり,「まさぐる」という動作を通じて外界を知り,安心感をえるのである.この乳幼児における身体コミュニケーションが欠如すると脳の深層部が発達しないので,大人になってから何らかの影響がでてくる.

講演では,筆者が27年間にわたり進めてきた福祉工学という分野について歴史を追って話しながら,視覚や聴覚などに障害が生じたときに身体・感覚によるコミュニケーションが如何に重要になるかを述べたい.そして,来るべきマルチメディアと高齢化社会の時代において身体・感覚・コミュニケーションに関する研究が急務となっていることを強調したい.さらに,我が国のコミュニケーションに携わる技術者らがモノを作るときに身体・感覚特性について十分に考慮して欲しいことを訴え,講演を通じて人間特性の研究を本格的に取り組もうという人たちが少しでも増えてくれれば望外の喜びである.