

《作品(ベル)》は20個のベルが2メートルの間隔で連続して鳴る作品です.
緻密な計算にもとずいて切り抜いた銅板が貼られた木製円盤(図2)をレコードプレイヤーにのせ,一定の速度で回転させます.観客がスイッチを押すと,円盤上の銅板に電気が流れ,円盤上部に固定された銅芯と接触することで,20個のベルに等間隔に順々に電気が送られ,ベルが鳴るしくみになっています.



この展覧会の企画を行なった担当学芸員に,再制作によって再現された作品の見どころについて聞いてみました.
「今,私たちの日常を見てみると,便利なソフトウェアがたくさんあるけど,逆にその制約の中でしか作品が作られていないのではないかとも感じます.コンピュータがなかった時代のアーティストは,作品を具体化していくために,その時代に存在したものをうまく流用して作品に用いたりしていました.《作品(ベル)》をとってみても,等間隔にベルを鳴らすことは,今日のソフトウェアを使えば容易に再現できます.でもあえて,当時のターンテーブルの等速回転を利用した手法で作品を再現することで,アーティストたちの創造力を感じてもらえるのではないかと思いました.」

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本展覧会では,4Fから5Fの階段に20個のベルが,5F階段を昇ったところにスイッチを設置しています.
ご来館の方は,実際に作品を体験しながら鑑賞していただけます. |
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作者:田中敦子



オリジナル制作年:1955年



第1回具体美術展で初めて展示される



作品展示場所:4F-5F階段



*詳しい作品解説はこちら
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ベルと銅製の芯を20組分ケーブルでつないでいる様子. |
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写真の銅製の芯が回転する銅板と順々に接触することでベルが鳴る. |
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5Fから4Fまで階段壁際に20個ベルが配置された. |
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