インターネットにおけるアート: 注目ウェブ・サイト36 3/4

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Vuk Cosic 《METABLINK》
http://www.vuk.org/metablink/metablon.htm
net.artのパイオニア,ヴック・チョーシッチの作品の一つで,抽象的に構成されたスクリーン上にたえずちらつき(ブリンク)が発生する.背景の色が白と黒で反転するだけのこのサイトは,テキストもグラフィックというコンテンツから離れ,その現象自体がコンテンツとなる.《Classics of Net.Art》, ASCII Art,ドクンメンタXのクローン・サイトなど反骨精神たっぷりのチョーシッチ・ワールド.

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exonemo《DISCODER》
http://www.shiseido.co.jp/cygnet/
千房けん輔と赤岩やえによるエキソニモによる新作.WWWを成立させているメタフレームとしてのHTMLをユーザーがキーボードによって破壊することで,ウェブページを成立させているイリュージョン(数値的整合性)を破壊していく.任意のURLを打ち込み自由に壊せる「Private Mode」と,提供されたページを複数の共同で攻撃する「Open Mode」で構成.彼らのサイト(http://www.exonemo.com)内のほかのプロジェクトも参照. 画面はexonemo "DISCODER"/「Open Mode」で破壊された江渡浩一郎サイトのトップページ(1999年8月3日現在/オリジナル:http://eto.com/).

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EastEdge 《Tyrell.Hungary》
http://tyrell.hu/
プログラマーやDJなど,ハンガリーのアンダーグラウンド・シーンで活躍するメンバーによって構成されるEastEdge.このプロジェクトでは,遺伝子操作からミーム感染までをカヴァーする仮想の企業「タイレル・ハンガリー」を設定し,デジタル・テクノロジーの進歩によって現在わたしたちが直面している問題――著作権,生命倫理やヴァーチュアルな生など――をSF的に擬似体験させることで,ラディカルな「ユートピア」を推進する.

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Mark Napier《RIOT》
http://www.potatoland.org/riot/
マーク・ナピエの新作.《RIOT》にアクセスすると,前のユーザーがアクセスした過去3サイトのコンテンツが自動的にリミックスされ,あらわれる.ユーザーは任意のサイトを打ち込み,コラージュを新たに生成させることができる.多くの作品が並ぶPotatolandでは,最近作の《Shredder(シュレッダー)》《Digital Landmill(デジタルごみ処理場)》などデータ処理の問題がブラックに提示されている.

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Mark Amerika《PHON:E:ME》
http://phoneme.walkerart.org/
SF小説家から転身したマーク・アメリカが,前作《グラマトロン》に続いて発表した新作.タイトルの《PHON:E:ME》は,"Phone Me" ,そして"Phoneme"(フォニーム)=「音素」と複数の意味をもつ.スクリーン上にあらわれては消えユーザーを翻弄するイメージやテキスト,RealAudioやMP3による音のディストリビューションは,ときに単独,ときにパラレルにあらわれることで,「拡張されたポエトリー」を浮上させる.

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Ulrike & David Gabriel《Source》
http://194.95.161.40/‾gabriel/pages/games/source/index.html
ウルリーケ&デイヴィッド・ガブリエルによるこのプロジェクトでは,ゲーテやマルクス,ニーチェ,カフカなどドイツ(語)文学や思想を代表する人々のテキストをデータベースとして使用する.アルファベットが散乱するなか,引用されたフレーズが流れ,またユーザーのクリックによってデータスペースが変化していく.
テキストは,ドイツの法で保護される作者没後70年を経過しているため,著作権フリーなソースとして扱われている.

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