ICC

概要
今回のテーマのひとつに“モレキュラー(球体分子)構造”がある.これは“固体でも液体でもあらゆる物体はモレキュラーの連鎖を変えることにより人工的に作りだすことができる”というモレキュラー・バイオロジーを参考にしたものである.このプロジェクトでは多少SF的なこの研究そのものではなく理論を応用した.サイト内のスパイダーは情報生体系のインターフェイスとなっている.クリニックとはこの場合,臨床,検証や交換を意味する.ユーザーのコンピュータ環境でモレキュラーが検証され,ウイルスを感染/治癒したりするようにサイトとの間を往来し交換されていく.このとき交換されるのは各モレキュラーの持つプログラムされた因子であり,これらのプログラムは数値パラメーターによる無限の交換性と無数の組み合わせが可能な自動因子プログラムを内包していて,コンピュータ内の時計とも関連して作動している.《DDSmol》はある意味でデジタル薬局であり,このFTPサイトにあるモレキュラーの因子の治癒,増強薬などのプログラムをダウンロードしてモレキュラーの変容を促進できる.ただし,投与した結果は,各個人の端末環境,どのドメインからアクセスしたか,どの自動因子プログラムを持っているかや,モレキュラーの結合,衝突,分解などの運動など個々の環境情報によって異なる.薬の副作用や効果が各個人の健康状態によって違うようにはっきりとした予測はできない.今回のプロジェクトはBIOINFORMATICSのプロセスのテストでもあるが,バイオロジーとは予測できないものであり,それはヴァーチュアルなものでも同じだと考える.このプロジェクトはインターネットで公開するプロセス全体がひとつの作品となっていて,各ユーザーの小さな差異,偏向や,人によっては数値的に限りなく0に近い因子プログラムを選んでしまう可能性もあるが,作品本体はユーザーのアクセスによってでしか変容しないのでトライしてほしい.

関連サイト
Panix