ICC

概要
《ping》はもともとはテレビ局が放送をしていない時間帯に、インターネットを 通じて「視覚の飛行」を行なうことを意図したものである。
自己生成を行なう映画というものを想像していただきたい。アイ・エージェントは 世界中に存在しているデータ・オブジェクトに基づいて、それが持つ人工的な変化 を明らかにしていく。
ネット中のイメージやオブジェクトから表現や情景を政策するデータスケープは、 インターネット・ユーザーによってインタラクティヴに作られる。《ping》は インタラクティヴなマルチメディア環境を世界規模で創造する。
アイ・エージェントと呼ばれる仮想カメラは、データスケープの中を飛行する 模様を自動的に放送レベルのクオリティで描く。
ユーザーによるインタラクティヴな創造活動は、ユーザーがデータスケープ内 を探索し、自分のオブジェクトを送付し、インタラクティヴな地図上に置くこ とを可能にするWWWインターフェイスを用いることにより実現する。データ スケープはネット中に存在する地図の要素から構成される。 それらの要素は、動画でも図形でも静止画でもよい。《ping》のデータスケー プは、離れたところにいるユーザーの動作によって生まれる。アイ・エージェ ントが見ているものは、元の場所から送られてきた、ネット中に広がった地図 の要素からなる、データスケープの図形的な表現である。重力の場の法則に 従って三次元のデータスケープ内を動き回ることにより、アイ・エージェント は、インターネット上で自己生成を行なうこの映画の映像を規定する。
《ping》はまだテレビ放映できないため、ネットを通じて放送されている。 単位時間あたりのフレーム数は視聴者のシステムによる。通信帯域が広がり、 通信速度が速くなるにしたがって、アイ・エージェントによって作られる映画は フリッカーがないものになっていく。
一日1000件以上のリクエストや私たちのサーバーにおけるネットワーク上の 問題のため、《ping》はしばらくの間、国外へは公開されていなかった。 pingデータスケープのミラー・サイトを設置していただいたハスキー・ラボにお礼 を申し上げる。
《ping》共同プロジェクトである。ベルリン芸術大学のアンティヤ・ ウムシュッテッター(映像コミュニケーション担当)によって始められ、ART+COMのシュテフェン・メシュカット(科学担当)とともに開発された。