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はじめに
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学芸員による作品解説ツアー
出品作家インタヴュー
Lib-LIVE! 学生コンソーシウム
トーク・イヴェント





10月21日(金)
「MobLab@ICC」

10月23日(日)
「非決定という態度:1970-80年代のヴィデオアート」

11月5日(土)
「21世紀の[情報+建築]に向けて」

11月6日(日)
「ised@ICC:情報社会をオープン にする」

12月4日(日)
「環境/モノ/身体/テクノロジー」

12月10日(土)
「Talk with Professor Ichiro Hariu」

《「日々」のための音楽》





11月19日(土)より
レクチャー&リハーサル

12月4日(日)
ライヴ・パフォーマンス

ワークショップ





12月10日(土),11日(日)
「PICSY×gumonji」

サウンド・イヴェント





12月16日(金)─ 25日(日)
サウンド・インスタレーション

12月17日(土)
公開トーク&高橋悠治コンサート

12月18日(日)
コンサート
2005年10月21日(金)—12月25日(日)ギャラリーA,B,5Fロビー,エントランス・ロビー






展示作品(会期中,一部作品の展示替えがあります.)


展示作品一覧はこちら
山本圭吾


《ビデオゲーム・五目並べ》 
"Video Game "Gomokunarabe""

1973年

ヴィデオ・カメラとモニターを使って,そこに現われるイメージと自分の知覚による「認識のズレ」を実感する作品を山本はいくつも発表している.その中でも,相手との共通認識を前提としたコミュニケーション手段であるゲームに,このシステムを持ち込んだ作品である.

A,Bふたつの碁盤があり,その前にはモニターが縦に2台設置されている.それぞれ,白と黒の一種類だけの石しか自分の前の盤には置けない.相手が石を打つと,自分の盤と相手の盤が合成された画面が下のモニターに,ジャッジによって一手一手の結果が送られてくる.次に自分が打つときには相手の石だけが置かれたモニターを見ながら置く場所を選ぶ.

通常の五目並べのように,相手の並びを妨害しながら,縦横斜めのどの方向にでも5個の石を並べることができれば勝ちである.ただし,相手の石があるところに自分の石を置いてしまうと即時に負けとなる.

つまり,情報は与えられるが実際に自分の目の前にはいない石を,「見る—見られる」という関係を常に想像しながらゲームの勝負をする.ヴィデオがまだそれほど浸透していない時期に,映像が送信される同時性に着目した試みと言える.自分を見る他人の視点が映し出され,そこに自己認識とのズレを確認する.シンプルなゲームであっても,同じ盤の上でプレイするという前提が成り立たないと,もはや相手の出方を探るのではなく,自分自身が持つ認識の不確かさと向かい合うしかなくなる.

この作品が遠隔地にいるもの同士が参加することを想定しているように,山本はネットワークを利用した作品にも早くから取り組んできた.今やどこにいても世界中の情報を得られるような技術を私たちは手にしているが,イメージを生み出すテクノロジーは,世界を把握する人間の存在を強固に中心化させる場合と,こうして脱中心化させる場合との,まったく正反対の作用を私たちに及ぼしていることに気づかせてくれるだろう.

この作品は,1975年のサンパウロ・ビエンナーレ(コミッショナー:中原祐介)に,日本から初めて展示されたヴィデオ・アート作品として山口勝弘の作品とともに展示された.