Feature: 500 Books for  the 21th Century


eナントカに ITうんちゃらについての断想

山形浩生



残念なことに,eナントカについて書くべきことのかなりの部分は,ロバート・スペクター『アマゾン・ドット・コム』(長谷川真実訳,日経BP社,2000)の解説に書いてしまったのである.したがって,ここでの記述は,残念ながらそこでおさまり切れなかった落ち穂拾いにならざるをえないことはご理解のうえ,読み進んで(あるいは読むのをやめて)いただければ幸いである.

ただ言っておくと,ぼくはeビジネスがダメだとか,すべてモノにならないとか言っているのではない.eナントカだからといって特殊なことは何もないのだ,ということが言いたいだけだ.eビジネスだから既存の事業や経済の常識がすべて変わる,とでも言いたげな文章が巷には多すぎる.でもeナントカでも,うまくいくヤツもあるだろう,失敗するやつもあるだろう.さらに,それを律する条件というのは,既存ビジネスとじつはほとんど変わらないはずだ.インターネットが新しい機会をいろいろ創り出しているのは事実なのだけれど,浮かれてばかりいると,それを取り逃がすことになりかねない.


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