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![]() そのナラティヴなイメージの深淵 「ブルース・ヨネモト──消滅する記憶」 |
初期のブルースは,兄のノーマンとともに第二次世界大戦における日系人強制収容所やブラジル日系人などの移民の生活を記録したドキュメンタリー作品などによって,アメリカにおける自らのアイデンティティを追いかける作品を手掛けてきた.兄とのこうしたドキュメンタリー映画制作によって,ブルースの映像に対する造詣が深くなったことは間違いない.だが,彼の作品における映像やイメージの多様性は,テクニックにこだわった手法としてのみではなく,映像がもつリレフレクションという「映るもの」へのこだわりからきているように思われる. ブルース自身が本展のカタログのなかで述懐しているように,スクリーンという幻影の向こう側を突き抜ければ,リアリティを掴むことができるのではないかと模索している様子が窺える. 「スクリーンを突き抜けて,デスノスは虚構の映像投射の裏側に,ある夢の世界を本質的に目に映るものとして浮かび上がらせていた.ある意味で私の日本での体験も,いつの日か私自身通り抜けることができるかもしれない」. |
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