インターネットにおけるアート

SAKAMOTO Ryuichi, IWAI Toshio and ETO Kouichirou
坂本龍一+岩井俊雄+江渡浩一郎

RemotePiano installation
インターネット,コンピュータ・グラフィックス,自動演奏ピアノなどを駆使し,ネットワーク上におけるコラボレーション,音と映像と機械とのインタラクティヴィティなどをテーマに会期中さまざまな試みを行なった.この催しは,1998年12月19−25日,東京・恵比寿のザ・ガーデンプレース・ホールで行なわれた坂本龍一と岩井俊雄のコンサート「MPI X IPM」のインスタレーション・ヴァージョンとしてICCで行なわれた.来場者は入口横のガラス越しに展示されているピアノの演奏した音に合わせて光のイリュージョンを体験できた.また,坂本龍一がピアノの前に座って演奏しているかのように「投影」される「Virtual SKMT」も随時会場に出現した.さらに「MPI X IPM」のライヴ中継も12月21日に実現,ISDN回線を利用して,映像,音声,MIDIデータをICCロビーに流した.

    RemotePiano


Nick PHILIP
ニック・フィリップ

nowhere.com
自分の身元を明かさずに他人にメールを送りつける連中が任意につける架空のドメイン名の代表例が,「nowhere.com」.この作品はその「nowhere.com」ドメインからメールをリアルタイムにハッキングし,モデムに接続された12台のファクスから出力するインスタレーション.世界中のどこかの「nowhere.com」ドメインからメールが送られると,コンピュータがランダムにモデムを起動し,ファクスにつなぐ.並んだ12台のファクスはそのジャンク・メールを次々と滝のようにプリントアウトした.この作品は,多方向性,同時性,匿名性,簡便性といった電子メール=インターネットの特質の負の側面を視覚化した.1998年9月16−27日,ICCでの個展で発表された.

    nowhere.com


Shu Lea CHEANG
シュー・リー・チェン

Buy One Get One
パソコン,カメラ,マイク,移動電話,日の丸弁当をおさめたデジタル・スーツケースは世界中を旅するアーティストの一種の「家=ホーム」と想定された.さまざまな情報がこの「家」を通過して旅をするアーティストのもとに届き,その応答も届けられる.第1回ICCビエンナーレ(1997)の準大賞作品に選ばれた本作品は,展覧会期中の2か月間,既存の安定した制度志向とはおもむきを異にした,いわばゲリラ的,ハッカー的な動きで独自のテレコミュニケーション・ネットワークを実現した.ICCコレクション作品.

    Buy One Get One

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