いつの頃からか,
芸術と科学はともにそのテリトリーを極度にせばめられてきたため,
互いが同じ領域で重合することのない別種のものであるかのようにみなされてきた.
しかし,かつては「アルス(芸術)」と「スキエンティア(科学)」という二つの言葉は
どちらも人間の知識と技術を包含していたばかりではなく,
どちらもそれらの世界を共有していたのである.
のちに自然科学の名のもとに枝分かれしてゆくもののすべての要素が
ルネサンスの芸術家のアトリエのなかにひしめいていたと言ったのはかのパノフスキーだが,
われわれはいま一度,そうした思考をさまざまな書物のなかから
抽出してゆくことを始めなければならないだろう.