ICC
OS2013
展示作品
《生成と消滅 2012》
2012年
逢坂卓郎


撮影:木奥恵三

この作品は,宇宙から飛来するエネルギー(宇宙線)の存在を,発光ダイオード(LED)の明滅によって視覚化しています.展示室は半透明の膜に隔てられた240個のLEDプレートと8本のネオン管によって光で満たされていますが,センサーが宇宙線を検知したその瞬間,LEDプレートは静かに光を失います.そして,そこには丸いプレートのシルエットだけが影として浮かびあがります.時間の経過とともに光を失ったLEDプレートは,やがて宇宙線のエネルギーの値に応じて,再びその光を取り戻し,あたりをほのかに照らします.

宇宙線とは,宇宙空間を光に近い速度で飛びまわっている高エネルギーの粒子,放射線の総称です.地球上に常に降り注いでおり,目には見えませんが,1分間に約200個もの粒子が私たちの体を通りぬけていると言われています.宇宙線は太陽からやってくるもののほか,何万光年も遠く離れた超新星の爆発,つまり,星の死からも生まれているのです.

明滅を繰り返す静かな光は,私たちを宇宙規模の感覚の広がりへと誘い,宇宙や生命の誕生,そしてその消滅といった壮大な物語を私たちに語りかけているのかもしれません.

協力:日亜化学工業株式会社

逢坂卓郎 プロフィール
1948年東京生まれ.日本のライトアートの草分け的存在であり,宇宙線をセンサーで検知し,LEDの明滅に変換して視覚化する《宇宙線シリーズ》,巨大な鏡が月光を捕らえる《ルナ-プロジェクト》など宇宙をテーマにした作品を制作している.宇宙芸術の研究コミュニティbeyond [space+art+design]の代表で,2008年から国際宇宙ステーションISS内で光と水を使用した芸術実験を実施している.
過去に参加した展示・イヴェント