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ICC開館15周年/「海市」展15周年記念シンポジウム 〈都市〉はアーキテクチャか?

ICC開館記念展「海市——もうひとつのユートピア」から15年.
 1997年の磯崎新による「海市」展は,当時まだ一般に浸透して間もなかったインターネットに着目するなど,「inter」をキーワードに,さまざまな相互の関係と,不特定の他者の参加によって作られる開かれた都市計画の提案として先駆的な試みとなりました.
 そして磯崎は,昨年のヴェネチア建築ビエンナーレにおいて,その概念や手法をあらためて発展継承するプロジェクトとして,2010年から現在まで進められている,中国最大の人口を持つ河南省の省都・鄭州の都市計画を舞台とした「中原逐鹿(Run after Deer!)」展を開催しました.
 「アーキテクチャ」という言葉は,かつては「建築」を意味するものでしたが,いまではむしろコンピュータ・アーキテクチャやネットワーク・アー キテクチャなどのコンピュータの構造設計,または社会構造を意味する言葉としても使用されています.インターネットがより日常化し,携帯端末よりつねにアクセス可能となり,ソーシャル・ネットワークが多くの人びとをつなぎ,そこに膨大なデータが扱われるようになっている現在,「海市」のコンセプトがどのように社会設計に展開されうるのか,これからの都市デザイン,アーキテクチャ論はどのようなものになるのかを議論します.


出演:磯崎新,高山明,江渡浩一郎,浅田彰
コメンテーター:羽藤英二

日時:2013年2月24日(日)午後2時より[終了しました.]
会場:ICC 4階 特設会場
定員:200名(当日先着順)
入場無料

インターネット中継
イヴェントの模様は,RealPlayerUstream にてインターネット中継されます.


→ オープニング企画展「海市」-もう一つのユートピア  磯崎新
(会期:1997年4月19日─7月13日)


プロフィール

撮影:木奥恵三

磯崎新
1931年大分生まれ.建築家.1963年磯崎新アトリエ設立.
代表的な建築作品に《大分県立中央図書館》(現アートプラザ,1966),《群馬県立近代美術館》(1974),《ロサンゼルス現代美術館》(1986),《バルセロナ市オリンピック・スポーツホール》(1990),《なら100年会館》(1998),《北京中央美術学院美術館》(2008),《ヒマラヤ・センター》《カタール国立コンベンションセンター》(2011)など.著書に『空間へ』(美術出版社/鹿島出版会),『UNBUILT/反建築史』(TOTO出版),『建築における「日本的なもの」』(新潮社),『日本の建築遺産12選——語りなおし日本建築史』(新潮社)など多数.2013年『磯崎新建築論集』(岩波書店)刊行予定.
→過去に参加した展示・イヴェント

撮影:江森康之

高山明
1969年生まれ.2002年演劇ユニットPort Bを結成.既存の演劇の枠組みを超えた活動を展開.
『東京/オリンピック』(はとバスツアー),『サンシャイン62』,『個室都市東京』,『完全避難マニュアル東京版』,『Referendum——国民投票プロジェクト(継続中)』,『福島—エピローグ?(光のないII)』など,現実の都市や社会に存在する記憶や風景,既存のメディアを引用する手法は,演劇の可能性を拡張する試みとして,国内外で期待と注目を集めている.対談集に『はじまりの対話——PortB国民投票プロジェクト』(現代詩手帖特集版/思潮社)がある.

江渡浩一郎
1971年生まれ.メディア・アーティスト/独立行政法人産業技術総合研究所研究員.1997年,慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了.2010年,東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了.博士(情報理工学).
1996年,sensoriumプロジェクトにて《WebHopper》を発表.sensoriumは1997年にアルス・エレクトロニカ賞ネット部門でゴールデン・ニカ賞を受賞.2001年,日本科学未来館「インターネット物理モデル」の制作に参加.産総研で「利用者参画によるサービスの構築・運用」をテーマに研究を続ける傍ら,「ニコニコ学会β」の発起人・委員長も務める.主な著書に『パターン、Wiki、XP』(技術評論社),『ニコニコ学会βを研究してみた』(河出書房新社).
http://eto.com/lab/
→過去に参加した展示・イヴェント

浅田彰
1957年生まれ.京都大学経済研究所准教授を経て,2008年より京都造形芸術大学大学院長.同大で芸術哲学を講ずる一方,政治,経済,社会,また芸術諸分野においても多角的・多面的な批評活動を行なう.
著書に『構造と力——記号論を超えて』(勁草書房),『逃走論——スキゾ・キッズの冒険』『ヘルメスの音楽』(以上,筑摩書房),『映画の世紀末』(新潮社),対談集に『「歴史の終わり」を超えて』(中公文庫),『20世紀文化の臨界』(青土社)などがある.
→過去に参加した展示・イヴェント

羽藤英二
1967年生まれ.東京大学大学院工学系研究科教授.専門は都市工学,社会基盤計画.マサチューセッツ工科大学客員研究員,リーズ大学客員研究員,カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員教授を経て現職.愛媛大学客員教授,熊本大学客員教授,ネパール工科大学客員教授を兼任.
移動ネットワーク上の意思決定モデルに関する研究で米谷・佐佐木賞,世界交通学会Bursary Prize,交通工学論文賞など多くの賞を受賞.陸前高田の復興計画やモビリティ・クラウドの研究開発に従事しながら,東京2060プロジェクトに取り組む.


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