《ソナー・ドローイング・デヴァイス》
《フォトトロピック・ドローイング・デヴァイス》
2003年
デイヴィッド・ボウエン


この2作品は,それぞれに備えられたセンサーが周囲の環境情報を検知し,そこで得られたデータをもとに装置が自動的に絵を描きます.《ソナー・ドローイング・デヴァイス》は,回転しながらソナー(超音波探測機)で作品と周囲の空間,人,物体との距離を計測し,それに基づいて先端に木炭のついたアームを動かしています.《フォトトロピック・ドローイング・デヴァイス》は,光センサーのついた小さなソーラー駆動ロボットで,一番明るいところに向かって動くよう設計されています.天井から吊るされた照明はタイマーで制御されており,展示台上の光量分布の変化に反応してロボットが移動した軌跡が絵となって現われるのです.
作者は,他にもセンシングした情報に基づいて絵を描く装置を作っていますが,それらが描いた絵も単体の作品として発表しています.作家自身は絵を描くプロセスには直接関与していないものの,収集されるデータは装置のデザインに大きく依存しています.また,《ソナー・ドローイング・デヴァイス》のような作品の場合は,来場者の動きも描画に反映されます.その意味で,これらの作品によって描かれた絵は,単にセンサーが描いたものではなく,作者,装置,そして来場者の共作だということもできるでしょう.
デイヴィッド・ボウエン プロフィール
1975年生まれ.アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス出身.センサーや小型デヴァイスなどを用いて,テクノロジーと自然が奇妙に共生する作品を制作している.アルス・エレクトロニカ・フェスティヴァル,WROメディア・アート・フェスティヴァル,文化庁メディア芸術祭をはじめ,国内外の多くのグループ展やフェスティヴァルに参加.現在,ミネソタ・ダルース大学アート・アンド・デザイン学部准教授を務めている.
http://www.dwbowen.com/