ICC

展示作品


エマージェンシーズ!016
「モノビート・シネマ」
2010年
大城真
展示期間:2010年12月14日(火)—2011年2月27日(日)

《kinema 58, 59》2008年

発光するブラウン管のTVモニターの前で,正弦波(サイン・ウェーヴ)がスピーカーから発されています.スピーカーから出力されている周波数は,音として知覚されますが,スピーカー自体の振動という目に見える現象としても知覚することができます.一方,TVモニターの映像も現象という側面から見ると,光が素早く点滅している状態としてとらえることができます.ここでは,TVモニターの明滅が,スピーカーの振動現象と干渉を起こすことで,スピーカーの見え方が影響を受けています.

正弦波は,異なる周波数同士の干渉を受けやすく,それによって音波においては,存在していない,もうひとつの周波数を生じる,「ビート」「うなり」とも呼ばれる「ヘテロダイン現象」を生じます.それは,あるふたつの異なる周波数を干渉させると,その差分の周波数となってあらわれる現象ですが,この作品では,聴覚だけではなく視覚によって,通常わたしたちが映像を鑑賞する際に,意識することがない側面が顕在化されています.1秒間に60回点滅するブラウン管の光が,それとはわずかに異なる周期で前後運動を行なうスピーカーを照らすことで,光と動きの間で「うなり」と呼ばれる干渉現象を発生させ,普段は意識されない映像の特性があらわにされます.

大城真 プロフィール

1978年沖縄県生まれ.2002年大阪芸術大学音楽学科卒.東京在住.電子機器やジャンクなど,身近な素材を組み合わせて制作した演奏・ 作曲のための楽器や道具を使ったライヴ・パフォーマンス,またそれと並行して音や光,物体の動作などを素材としたインスタレーション作品の制作を行なっている.

関連イヴェント パフォーマンス&アーティスト・トーク 大城真 日時:2011年1月16日(日)午後2時より[終了しました.]|→詳細|