ICC





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2002年4月26日(金)—6月16日(日)ギャラリーB


はじめに


 ICCでは,メディア・アートを志す若手アーティストや,発表の機会が限られていたため,衆目を集められなかった新しい試みの作品などを紹介する企画展として,「ニュー・メディア ニュー・フェイス」を開催してきました.
 昨今の状況下,そうしたアーティストたちによる発表の場は,ますます限られてきており,残念ながら,メディア・アートを学ぶ学生や学校などの急増と,反比例しているといわざるをえません.
 そのため,同展の存在はきわめて重要であり,メディア・アートの未来のために欠かせぬものとさえいえます.「ニュー・メディア ニュー・フェイス 02」は,現在注目される,井上尚子,杉原有紀,タムラサトル,古池大介の4名のアーティストを紹介し,メディア・アートの活性化をめざすものです.

 井上尚子は,オレンジやチョコレートなどによる香りや匂いといった嗅覚と,触覚,聴覚,視覚の情報を組み合わせたヴィデオ・インスタレーションを制作しており,作品の体験をとおして,観者の記憶(家族,ジェンダーなど)を喚起させます.
 杉原有紀は,人間を水で包む空間,ウォータードームの研究と開発を行なっています.身体の周囲360度を視覚的に水膜で囲い込むと,まるで水中にいるような感覚が得られることに着目し,「水への没入感」を体験できる新しいメディア空間を提案しています.
 タムラサトルは,手作りの機械彫刻を制作しています.作品は,「機械の動き」としか表現しようがないものを呈示しており,またその機械の表情は,現代の機械と人間の間に横たわる無意識を表出しています.
 古池大介は,モーフィング技術(異なる二つの画像間を漸次的に変型させるコンピュータ・グラフィックス)を用いて,キリストの肖像や山といった「象徴的なもの」のイメージの連鎖的な変型のうちに,その本質的な意味の変容を見い出そうとします.それは情報やコミュニケーションのはらむ,個人間のイメージの差異の抽出ともいえます.

 これら4名の個性的なアーティストによる,若々しくヴァラエティに富んだ作品から,21世紀のメディア・アートの胎動を感じることができるでしょう.