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アーティスト・トーク
 
2001年4月20日(金)〜 2001年7月29日(日)ギャラリーB内無響室





はじめに


私たちの意識は,ある出来事(イヴェント)を知覚する際に空間と時間とを関連づけて記憶しています.もし,この出来事を精密に保存・再生できるとしたら,その空間自体をイヴェントを伝達する媒体(メディア)とすることが可能になるのではないでしょうか?
こうした考えに基づき,今回前林が発表する 《[I/O] distant place》 は前2作にあたる 《[I/O] warehouse》 (メディアセレクト2000),《[I/O] white room》 (東京都現代美術館スタジオ)に続く3部作の最後の作品となります.前2作では(1)キャラクターの強い,動かせない空間,(2)ノンキャラクターな空間,コピー可能な空間において聴覚によるヴァーチュアリティの問題を追求しました. 今回初めて試みられる無響室を使用した本作品では,反響など,その「場」の特性がない空間という特徴を生かし,重ね合わされる(再現される)実質的な空間が存在しないこと,すなわち再現される空間を「無限」=「どこにでもいける」ものとして措定することによって,バイノーラル録音された旅によって訪れた各々の場所を無響室内で再現するものです.鑑賞者は作家が訪れたその場所を聴覚によってのみ疑似体験することになるでしょう.