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はじめに
Anyについて - 磯崎新
入場料

イヴェント




Any シンポジウム
インターネット中継
 
2000年10月19日(木),午後6時00分 〜 午後9時00分 [終了しました.]





Anyについて - 磯崎新


●〈Any〉について——磯崎新
「最初のAnyコンファレンスの二年前ぐらいに,ピーター・アイゼンマンと会って,建築について理論的に討議できるような場を設定したいということになったのが,そもそもの発端です.われわれは21世紀については責任がもてないから(笑),少なくとも20世紀にやったものを21世紀に繋ぐことが可能な会議をやろうということになった.それで,1991年から2000年までの10年間にわたって10回の会議の計画を立てた.…

Anyの特徴である,建築家と哲学者が参加するコンファレンスになったきっかけは,アイゼンマンがパリのラ・ヴィレットの庭園をプランニングするにあたって——全体計画を担当していたベルナール・チュミが二人を引き合わせたということになっていますが——ジャック・デリダをプランニングのチームに入れ,二人でプランをつくったことがきっかけなんです.このとき,デリダは「コーラ」というコンセプトを提案し,アイゼンマンはそれを受けて「コーラル・ワークス」と題するプランを立てた.これは実現しなかったけれど,建築と哲学の対話へと繋がっていったのではないでしょうか.そのほか,バタイユ経由で建築に関心をもったドニ・オリエが,当時アメリカで『反建築』という本を出した.これも別の意味で建築を外の領域にまで拡げるひとつのきっかけを作ったと思います.…

それやこれやで,建築という概念そのものが,いわゆる建築物を作るというだけでなく,さまざまな物事の構築という領域にまで拡がった概念として使われはじめたわけですね.おそらく80年代の終わりにはそれは共通の理解だったんですが,しかし,そこから先へ,どのような方向に展開してゆくのかは,誰も分からなかった.Anyコンファレンスが始まるきっかけは,そういう問題をさまざまな領域から掴まえて問題にしていきたいという時代的な要請があったのではないかと僕は思っています.…
このAnyという名前の命名者は,ジェフリー・キプニスだというような気もするんですが,あるいはアイゼンマンその人かもしれません.Anyというのは決定不能性を象徴的に表わしているというわけですね」.(『Anyone』より)

●〈Any〉コンファレンスの変遷

1.Anyone……91年(ロサンジェルス)2.Anywhere……92年(大分県湯布院)3.Anyway……93年(バルセロナ)4.Anyplace……94年(モントリオール)5.Anywise……95年(ソウル)6.Anybody……96年(ブエノスアイレス)7.Anyhow……97年(ロッテルダム)8.Anytime……98年(アンカラ)9.Anymore……99年(パリ)10.Anything……00年(ニューヨーク)

●〈Any〉シリーズ既刊

Anyone 建築をめぐる思考と討議の場(増補改訂版)
Anywhere 空間の諸問題
Anyway 方法の諸問題
Anyplace 場所の諸問題
Anywise 知の諸問題
Anybody 建築的身体の諸問題
Anyhow  実践の諸問題