ICC





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コンサート
コンサート
コンサート
シンポジウム
 
1999年1月14日〜1月17日 [終了しました.] ギャラリーD





はじめに


メゴとは

 メゴは,オーストリア,ウィーンに本拠を置くインディペンデント・レーベルである.だが,その過激きわまるアクティヴィティは,単なる“レーベル”としての在り方を,大きく逸脱している.彼らはこの数年,世界各地のサウンド/アート系の名だたるフェスティバルを,そのとてつもなく奇形的なサウンドによって,荒しまわっているのだ.当初はかろうじて「テクノ」にカテゴライズされていた彼らだが,現在ではまったく新しいタイプのエレクトロニクス・ミュージックの探究へと突き進みつつある.

 メゴが果敢に追求しているのは,ダンス・ミュージックとしての電子音楽,ニュー・ミュージックとしての電子音楽,ノイズ/エクスペリメンタル・ミュージックとしての電子音楽,そのすべての,あくことのない解体と混交である.あたかも回路が接触不良を起こしたかのようなスリリングなテクノイズと,サンプリング・テクノロジーを酷使した異様なサウンドは,コンピューター・ミュージック(彼らは皆,演奏にパワーブックしか使用しない)の最果てを垣間見させてくれる.時には暴力的なまでのヴォリュームで,時には可聴範囲ぎりぎりの微かさで,彼らはリスナーの聴覚を撹乱し,変容させ,拡張させる.

 そんなメゴが大挙して日本にやってくる.レーベルのスポークスマンでもある超ミニマル・パルスのピタ,彼とレーバーグ&バウアーとしても活動するレーモンのユニット,ジェネラル・マジック,ギター奏者でもあり,ビーチボーイズやストーンズをカヴァーしたりもするフェネス,メゴの秘密兵器ともいうべき驚くべき3人組ファーマーズ・マニュアル,パナソニックやジミ・テナーのPAを務め傍ら自ら音作りにも手を染め,メゴからメルツバウの秋田昌美らとのコラボレーション作を発表しているハズウェル,そしてメゴのヴィジュアル部門を司る才能溢れる映像チームスコット,計6ユニット,総勢9名による来日である.

 ICCにおいては,3日間(1/14, 16, 17)に渡り,連日まったく異なるプログラムでのコンサートが催される.出演はメゴのアーティストに加えて,池田亮司,メルツバウ,Filament(大友良英+Sachiko M),ズビグニュー・カルコフスキー,そしてピタ,フェネスとのトリオでも活動中のジム・オルークがゲストとして参加する予定である.また1/15には,メゴのメンバー,大友良英,佐々木等によるシンポジウムも催されることになっている(無料).

 これはメゴのショウケースであると同時に,1999年現在における,サウンドとアートとテクノロジーの交叉点に生じるクリティカル・ポイントを提示しようとする試みでもある.多くの観客の来場を期待したい.

佐々木 敦(HEADZ)