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展示作品




《Shuld I go or should I stay ?》
日本語脚本
参加作家
関連イヴェント




アーティスト・トーク
 
1998年6月26日(金)〜7月12日(日) [終了しました.] 5階ロビー





和文脚本










チャンネル1:
(映像:氷に写った二人の人影)

男:俺行くよ.
女:どこ行くの.
男:南.
女:自分の影がこわいの.
男:影なんかないよ.
女:冗談いわないで.みんな影があるわ.
男:影には負けないよ.逃げのびてやる.
女:無理ね.
男:見ててごらん.
女:自分の部族に帰ったら.
男:部族なんてないよ.帰るところがないんだ.
女:自分の部族つくったら.
男:性分にあわないんだ.影よりも一歩先に行くから.
女:行かないで.もう一日いて.

 


チャンネル2:
(雪の中のキツネの映像)

女:行ったほうがいいわ.
男:隠れなきゃ.
女:自然の中のほうが安全だわ.
男:捕まるよ.追いつめられるよ.
女:境界線,はって横切ったら.
男:だめだよ.おいてけないよ.
女:私のことは忘れて.
男:俺たちどうなるんだ?
女:行きなさい.もう時間がないわ.
男:やられるよ.あっちは野蛮すぎるんだ.
女:行ってみなさいよ.

 


チャンネル3:
(幼児と乳母の映像)

男:行こう.
女:行けないわ.私はあなたのようなカメレオンじゃないの.大地が好き.空に浮かびたくないの.
男:一緒に飛ぼうよ.
女:羽が溶けちゃう.
男:風が楽園に連れて行ってくれるよ.
女:嵐に飲み込まれちゃうわ.
男:俺が嵐を飲み込むよ.
女:誇大妄想狂ね.
男:俺は天使の教え子だぞ.
女:狂った夢の中のお話.
男:夢見る男だからね.
女:目を覚ましなさい.
男:一緒に来てくれたら目を覚ますよ.

 


チャンネル4:
(加工された炎の映像)

女:ドアを開けましょう.
男:動けないよ.
女:まだかぶと虫になったわけじゃないでしょう.
男:足が凍ってるんだ.
女:ここから出なきゃだめよ.
男:春まで待とう.
女:今年は春は来ないわ.追っかけなきゃだめよ.
男:氷に殺されるよ.
女:氷なんか溶かしちゃうわ.
男:そんな力ないよ.
女:心を12月に置いてきたのね.
男:君の心は俺より速く走るんだよ.
女:おいでよ.こっちに出てきて.
男:閉めろよ.こっちに居ようよ.
女:私行くわよ.南に向かって.