ICC

著者ハワード・ラインゴールド
訳者会津泉
書名バーチャルコミュニティ
副書名コンピューター・ネットワークが創る新しい社会
出版社三田出版会
出版年1995
ISBN4-89583-142-6
解題本書においては,世界中に散在する数え切れないほど多くのコンピュータをつなぐコンピュータネットワークによって人間同士のコミュニケーションの形態を変容し,多様なコミュニケーションの形態が社会のあり方そのものに対して大きな影響力を及ぼしつつある事態が詳細に述べられている.世界各国での取材を通じて,著者は多数のネットワーカーに接し,「バーチャルコミュニティ」が進化してきた経緯が語られ,期待と不安を交錯させながらインターネットに参加しようとしている新しいユーザーにも,貴重な指針を与えている.
著者ハワード・ラインゴールド
訳者栗田昭平(監訳)
書名思想のための道具
副書名異端の天才たちはコンピュータに何を求めたか?
出版社パーソナルメディア
出版年1988
ISBN4-89362-035-5
解題チャ−ルズ・バベッジ,アラン・チュ−リング,ジョン・フォン=ノイマン,アラン・ケイなどコンピュ−タの誕生と進化を支えてきた異端の天才たちの業績を例に挙げ,彼らがコンピュ−タに何を求めていたのかを洞察することにより,単なる計算機から「思考のための道具」に至ったコンピュ−タの遍歴を明らかにしている.これからのコンピュ−タと人間の係わり方をテーマとしているが,その構成は一般読者向けにドキュメンタリー的な構成になっていて,コンピュータの基礎知識のない読者にも読みやすい.
著者F.W.ランカスター
訳者植村俊亮
書名紙なし情報システム
出版社共立出版
出版年1984
ISBN4-320-02211-4
解題「紙はなくなるか?」というテーマは,コンピュータの進化ともに,日常的かつ社会的な文脈で登場してきた.インターネットなどの拡大に伴って「本」や「出版」など印刷媒体の存在が問い直されるなか,著者はいち早く(原著は1978年刊行)このテーマに取り組んでいる.本書は,コストを中心とした経営学的なアプローチが採用されているが,後半においては現在のインターネットとはいささか異なる未来展望が披露されていて,その差異を考えるだけでも興味深い.
著者ティモシー・リアリー
訳者山形浩生
書名神経政治学
出版社トリヴィル
出版年1989
著者李孝徳
書名表象空間の近代
副書名明治「日本」のメディア編制
出版社新曜社
出版年1996
ISBN4-7885-0546-0
解題「日本」という国民国家が誕生した推移を,明治時代に新たに登場し影響力をもつようになった地図・交通・写真・商業出版などさまざまな「表象」の詳細な分析によって解読した一冊.日本における「国民」や「近代国家」がどのように編制されていったかという点について,視覚メディアの登場とその普及の推移が紹介されながら詳細に分析されている.政治神学と近代化という相矛盾した国民国家構築のプロセスが,身近なメディアを通じて明らかにされている.
著者セオドア・ローザック
訳者成定薫+荒井克弘
書名コンピュータの神話学
出版社朝日新聞社
出版年1989
ISBN4-02-255963-2
解題アメリカ60年代の対抗文化(カウンタ−カルチャ−)を世界に紹介した歴史家ロ−ザックがコンピュ−タ文化の浸透によって変容しつつあるさまざまな社会的状況を分析している.本書で詳しく紹介されているカウンタ−カルチャ−の精神的所産であったコンピュ−タとその文化も,今や国家権力に回収されてしまったかに見える.本書の原著は1986年であるが,いち早く現在の状況を予見し「情報信仰」がはらむディレンマを指摘した好著である.
著者E.M.ロジャース
訳者安田寿明
書名コミュニケーションの科学
副書名マルチメディア社会の基礎理論
出版社共立出版
出版年1992
ISBN4-320-02590-3
解題「コミュニケ−ション技術と社会」という大学院の講座で教科書として採用されているだけあって,その内容は,放送や広告から近年のコンピュ−タネットワ−クに至るまで,さまざまな事例に基づいて,コミュニケ−ション技術の影響力が丹念に述べられている.基礎的なデ−タ収集と綿密な文献調査(ほぼアメリカ合衆国国内に限定されてはいるが)に基づいているため,本書はコミュニケ−ション論に関する資料集としても機能している.