ICC

著者マーシャル・アンガー
訳者奥村睦世
書名コンピュータ社会と漢字
副書名言語学者が見た第五世代コンピュータ
出版社サイマル出版会
出版年1992
ISBN4-377-10002-5
解題「強いAI」,「機械の知性」にたいし楽観的であった日本の「第5世代プロジェクト」.しかしこの見解は見直されるべきであると作者マ−シャル・アンガ−はいう.テクノロジ−の発展に伴う技術革新の影響による日本語表記改革の必要性,コンピュ−タのパフォ−マンスを低下させる「漢字」と人工知能,第五世代コンピュ−タ・プロジェクトの停滞との関連性をアメリカの言語学者が鋭く解き明かしている.
著者ベネディクト・アンダーソン
訳者白石隆+白石あや
書名想像の共同体
副書名ナショナリズムの流行と起源
出版社リブロポート
出版年1987
解題政治学者でもあり東南アジア研究者でもある著者は,「国民国家」の存在論的な根拠となっている「国民」を「想像の共同体」としてとらえ,「巡礼」や「王朝」などといった概念と類比しながら,ナショナリズムの起源と発達が語られている.著者のエスニシティや地域性などに対する視点もきわめてユニークで,現在のネットワーク環境を考慮する上でのヒントが盛りだくさんの名著である.
原著者Anderson, Benedict
原書名IMAGINED COMMUNITIES / Reflections on the Origin and Spread of Nationalism
原書出版社Verso
原書出版年1987
著者フランシス・イエイツ
訳者玉泉八州男(監訳)
書名記憶術
出版社水声社
出版年1993
ISBN4-89176-252-7
解題本書でイエイツが着目するシモデニスからライプニッツに至るまでの記憶術に関する詳細な歴史は,延々と続aいてきた空間をめぐる認識方法であった.ロバート・フラッドを介してイギリスに渡った劇場モデルは,シェークスピアのグローブ座やライプニッツのモナドロジーへ大きな影響を与えたとも言われている.本書で紹介されている後期ルネサンスの汎知論的なヘルメス主義は,近代の空間認識の準備段階であったことをうかがい知ることができる.
著者石井寛治
書名情報・通信の社会史
出版社有斐閣
出版年1994
解題「日本の近代化」が市場経済を基盤とする資本主義社会の誕生とともに始まったことは,よく指摘されることである.本書では,市場経済の発達とともに必要性が増大したコミュニケーションに焦点を当て,江戸時代後期から明治時代にかけての,郵政,電信,電話などの発達を整理している.また,それらの発達過程で発生した社会的な諸状況が,いかに私的な伝達の欲望を制約してきたかという側面も,同時に語られている.
著者ハロルド・イニス
訳者久保秀幹
書名メディアの文明史
出版社新曜社
出版年1987
原著者Innis, Harold
原書名THE BIAS OF COMMUNICATION
原書出版年1951
著者今井賢一・金子郁容
書名ネットワーク組織論
出版社岩波書店
出版年1988
ISBN4-00-001797-8
著者岩谷宏
書名ラジカルなコンピュータ
副書名思想のための最終機械
出版社ジャストシステム
出版年1995
ISBN4-88309-301-8
著者フレッド・イングリス
訳者伊藤誓・磯山甚一
書名メディアの理論
副書名情報化時代を生きるために
出版社法政大学出版局
出版年1992
ISBN4-588-00372-0
解題五千年に及ぶメディアの歴史と文化全般を横断的に考察しながら,テクノロジ−によって進化し続けるメディアの理論化をめざした社会文化論.本書においては,メディアにアプロ−チする上での基本単位として「物語」が位置づけられ,「物語」をてがかりに,メディアをめぐる文化理論の政治的かつ経済的な背景を概観する.最終的に,「体験を知識に変換するもの」としてのメディアが,大衆文化論の中心的なテ−マであることが力説されている.
原著者Inglis, Fred
原書名MEDIA THEORY / An Introduction
原書出版社Basil Blackwell
原書出版年1990
著者ポール・ヴィリリオ
訳者市田良彦
書名速度と政治
副書名地政学から時政学へ
出版社平凡社
出版年1989
ISBN4-582-70203-1
解題概念的な「速度」を切り口として,近代社会を成立させている政治の深層を解読しようとする著者は,その分析のフィールドとして「速度社会」を選択している.「戦争」が吸収してきたテクノロジーと政治を「速度学」として分析されることによって,「速度」と「政治」との密接な関連が語られると同時に,テクノロジーをめぐる今日的なイデオロギーの状況が整理されている.
原著者Virilio, Paul
原書名Vitesee et Politique
原書出版社Editions, Galilee
原書出版年1977
著者ポール・ヴィリリオ+シルヴェール・ロトランジェ
訳者細川周平
書名純粋戦争
出版社UPU
出版年1987
ISBN4-946432-22-1
解題電子メディアを用いたシミュレーション能力は,戦争の技術を起源として,現在では世界の映像化という現象を大きく支えている.本書で展開されているロトランジェとヴィリリオの対話は,「戦争のための戦争」(=純粋戦争)への批判が基軸となっている.ここでの純粋戦争への批判的な考察は,単に政治的状況へ向けられているだけでなく,テクノロジーをカタストロフィ的状況の中で利用することにも向けられている.本書では,われわれの知のあり方そのものが軍事化されていることにたいしても痛烈に批判の目が向けられている.
原著者Virilio, Paul + Roringer, Sylvere
原書名PURE WAR
原書出版社Semiotext
原書出版年1983
著者内田隆三
書名消費社会と権力
出版社岩波書店
出版年1987
著者大澤真幸
書名電子メディア論
副書名身体のメディア的変容
出版社新曜社
出版年1995
ISBN4-7885-0521-5 C1036
解題社会学者である著者は,本書において,自己が分裂した状態から生じる「内なる他者」を,メディアというテ−マに通じる本質的な問題として重視する.他人と電話でコミュニケ−ションしている状況においても自分の中にある他者と出会っているとするメディア論は,きわめて斬新な地平をわれわれに与えている.さらに,巻末では,本論中で展開された「電子メディア的想像力」に基づく「おたく論」が展開されている.
著者W-J・オング
訳者桜井・林・糟谷
書名声の文化と文字の文化
出版社藤原書店
出版年1991
ISBN4-938661-36-5
解題書くということをあまりに当然のこととしている我々にとって,「書く」ということをまったく知らない文化について考えをめぐらせるのは難しい.「書く」という技術を身につけたとき,一体どのような差異が生じたのか.印刷技術のエレクトロニクス処理の発達にともなうテクストの変容.「書く」というメディアテクノロジ−の変化は少なからず我々を取り巻く環境の諸構造に影響をあたえている.声の文化と文字の文化間に介在する人間の心性の変化とは何かという問題についても語られる.
原著者Ong, Waler J.
原書名ORALITY AND LITERACY
原書出版社Methuen & Co. Ltd.
原書出版年1982