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「形態について理論的研究をするためには,その準備として成長の速度につい て調べてみる必要がある.生物の形態は,数学的にいえば,まさしく時間の関
数なのである.(……)我々は生物の形態を,単なる空間的な配置としてとら えるのではなく,時空間内における一つの出来事と呼ぶべきなのかもしれない.」
(D'Arcy Thompson, On Growth and Form, Cambridge University Press,
1942)
《インタラクティブ・プラント・グローイング》は,3-Dグラフィック・コン ピュータ(シリコングラフィックス)による仮想空間上での,仮想植物体の成
長の原理と,リアルタイムに起こる変化や変異をテーマとしたインスタレーショ ンである.設定された《人工生命植物体》に起こるこれらの変異は,おもに時
間的展開・進化の原理に基づいている.プログラム化された植物を人工的に成 長させるこの試みは,つねに特定の生物の形質転換や形態発生によってしか定
義されない,生命の原理を解き明かすことをめざしている.
《インタラクティブ・プラント・グローイング》では,コンピュータによる三 次元空間上で成長するこの仮想植物が,実際に観客が近寄って触れることので
きる生きた植物と結ばれている.実際の生きた植物に触れ,その手を動かすこ とによって観客は,前面のビデオ・プロジェクション・スクリーンに映し出さ
れている,プログラム化された25種以上の植物の仮想的成長に,直接リアルタ イムに作用を及ぼし,コントロールすることができる.
観客の手の動きにしたがって,植物と成長プログラムを結ぶインターフェイス に,さまざまなデータが与えられるのである.
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