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はじめに
入場案内
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展示作品
参加作家
学芸員による作品解説ツアー
出品作家インタヴュー
Lib-LIVE! 学生コンソーシウム
トーク・イヴェント





10月21日(金)
「MobLab@ICC」

10月23日(日)
「非決定という態度:1970-80年代のヴィデオアート」

11月5日(土)
「21世紀の[情報+建築]に向けて」

11月6日(日)
「ised@ICC:情報社会をオープン にする」

12月4日(日)
「環境/モノ/身体/テクノロジー」

12月10日(土)
「Talk with Professor Ichiro Hariu」

《「日々」のための音楽》





11月19日(土)より
レクチャー&リハーサル

12月4日(日)
ライヴ・パフォーマンス

ワークショップ





12月10日(土),11日(日)
「PICSY×gumonji」

サウンド・イヴェント





12月16日(金)─ 25日(日)
サウンド・インスタレーション

12月17日(土)
公開トーク&高橋悠治コンサート

12月18日(日)
コンサート
2005年10月21日(金)—12月25日(日)ギャラリーA,B,5Fロビー,エントランス・ロビー






展示作品(会期中,一部作品の展示替えがあります.)


展示作品一覧はこちら
藤幡正樹


《トルソ:画像から立体へ》 
"Torso [GEOMETRIC LOVE] "

1987年

《禁断の果実》
"Forbidden Fruits"

1990年

3次元の現実世界を2次元に切り取る写真には,必ずそのイメージに対応する現実の物体がある.写真を見るときには,例えば現実の世界にある自分の身体感覚をもとにして,その対象物の大きさをはじめとする質感を獲得することができる.しかし,コンピュータ・グラフィックスは基本的に数や文字という完全に抽象的なものが作り出す「形」である.経験的に覚え込んでいる身体の感覚が人間の想像力には欠かせないとすると,コンピュータの中から生成されるイメージは私たちにどのような感覚を獲得させていくのだろうか.

《トルソ:画像から立体へ》は,「数値制御切削加工機」という機械によって,コンピュータの3次元データをもとにドリル状に回転する刃物が削り出した作品である.粘土や木,大理石などを彫刻家が扱うときには,素材の持つ特性と削り出す手が形を決定してゆくが,コンピュータでは線や点の関係性を操作するだけである.また,形の決定についても何度もやり直し,前の状態に戻すこともできる.そうして生まれた形に,直接触れてみたいという欲望によって制作された作品である.この手法で違う素材を使って作られたものが複数存在するが,それを撮影した写真からは大きさの感覚がまったく伝わってこない.

そもそも,コンピュータ・グラフィックスには大きさがない.紫外線硬化樹脂の表面に紫外線レーザーをあて,液体中に硬化した面を積層させていくというステレオリソグラフィーという技術を使った《禁断の果実》においても,それは同様である.物質として置き換えられた後も,これらはそれ自体が持つ意味を剥奪されているように思える.自由に形や大きさが変えられることで,固定的な意味が付与されることから逃れられているモノたちなのである.その点において,これらは近代的な造形概念に支えられた彫刻とはまったく違う作品だと言えるだろう.





《トルソ:画像から立体へ》

《禁断の果実》




《脱着するリアリティ》
"Removable Reality"
1992/2005年