IT革命の本質とITベンチャーへの期待
――日本の選択/ビジネス・モデル特許/地球温暖化

■註

1――米国商務省標準技術局(NIST)が次世代の国際標準暗号と位置づけている,手順公開型の共通鍵暗号.NISTは1999年8月候補技術をIBMの「MARS」,米RSAデータ・セキュリティの「RC6」など5タイプに絞り込んだ.日本からはNTTが「E2」を提案していたが,この段階で選に漏れた.2001年夏をめどに最終的な「標準技術」を確立する計画.

2――HTMLに似たWMLを使うことで,携帯電話でインターネット情報を入手するためのプロトコル.エリクソン(スウェーデン),モトローラ(米),ノキア(フィンランド),フォン・ドット・コム(米)を中心に構成するWAP Forumで規格を作成.

3――cdma方式移動通信システムを広帯域化するもの.NTTドコモが世界に先駆けて実用システムの開発に着手した.実験システムの仕様では,移動中で384Kbps,静止状態で2Mbpsの伝送速度が可能.

4――米国で標準化されたcdmaOneの機能拡張版.既存のcdmaOneネットワークと共存できる.2Mbpsの高速データ伝送が可能.

5――http://www.rakuten.co.jp

6――ロナルド・コース (Ronald H. Coase). アメリカの経済学者.市場における「取引費用」の役割に注目し,企業組織の存在は取引費用の最小化から説明できるとする「コースの定理」を発表し,1991年ノーベル経済学賞受賞.企業は社会的取引コストを最小化する故に社会的な存在意義があり,例えば,一般の個人が音楽CDを購入するより,手間をかけてでも音楽放送やレンタルCDから著作物を複製したほうが良いと感じたならば, 商品として販売されている複製物を供給している企業は,経営的にも社会的にも不効率であるという理論.

7――携帯電話機やパソコンその他のポータブル機器の間をつなぐ,低価格の短距離無線伝送技術の仕様のコード名.機器の接続範囲は10m程度であるが,追加増幅器により100mまで延長できる.


つきお・よしお――1942年生まれ.東京大学大学院教授.工学博士.国土審議会,資源調査会,電気通信審議会などの委員.著書=『ポスト情報社会の到来』(PHP研究所),『マルチメディア超企業破壊』(徳間書店),『サステナブル社会への道筋』(東洋経済新報社)など

たけむら・みつひろ――1954年生まれ.東京大学大学院助教授.メディア環境学.著書=『メディア・エクスタシー』(青土社),『デジタル・ジャパネスク』(NTT出版)など.


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