Feature: 500 Books for  the 21th Century

ICC Feature

IT革命の本質とITベンチャーへの期待
――日本の選択/ビジネス・モデル特許/地球温暖化

インタヴュー/月尾嘉男
武邑光裕[聞き手]



日本のIT革命が立ち遅れた理由

武邑光裕──先頃,経済誌『エコノミスト』が,世界60か国について,eビジネスの展開における環境整備状況のランキングを発表しました[図1].1位は当然米国で2位以下をインターネット接続や携帯電話の普及で知られる北欧3国(スウェーデン,フィンランド,ノルウェー)が占めています.一方,日本は21位とその評価は極めて厳しいものでした.ITベンチャーへの期待と同時に,ネット関連株のマネー・ゲームを疑問視する向きも少なからずで,日本では本格的なITベンチャーは育っていないとの見方もあります.接続性レヴェルの指針によれば,物理的なテレコム・ネットワークだけでなく,コストやリテラシー率のような,アクセスに影響を与える他のファクターも重要ですし,一般的な経営環境と情報インフラの接続性がうまくかみ合っていないことが,eビジネス環境において日本が遅れをとっている理由だとの見方もありますが,いかがでしょうか?

月尾嘉男──現実に日本のIT環境は遅れています.『エコノミスト』の資料以外にもいろいろな統計があって,例えば人口当りの普及率は,パーソナル・コンピュータが19位,インターネットが21位,携帯電話ですら17位と,日本は20番前後で遅れています.


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