SRLカタルシス

NF ――今回,日本でショーをやったわけですが,あなたの目から 見て現代日本の文化はどのように映りますか?

MP ――僕はアメリカ文化と日本文化の差異をこう見ている――アメリカは恐怖心の国,日本は不安の国.アメリカの人間は恐怖心だらけだが,自分を不安に思う気持ちはほとんどない.逆に日本の人間には恐怖心はないが,いつも不安を感じている.日本はこの不安感によって変化してきたと僕は思うんだ.アメリカという国はいろんな恐怖心によって動いている.彼らは共産主義が怖いし,アーティストが怖いし,幼児虐待者が怖いし,飲酒ドライヴァーが怖い.そんなところからアメリカの風景は変わってくるんだ.だが,日本は違う.ある意味ではもっとドラマティックな変わり方をする,不安が原因だからだ.
まわりを見回してみればいい,若い子たちは奇妙なことをやってる.ただ,数年前に比べるとかなり賢くなったようには見えるね.アメリカの若者とはかなり異なるが,日本の若者も前より政治的になったと思う.彼らが現状に反してやっていることも,単に流行だからじゃなくて,もっと意識的にやっているようなふしがある.自分の行動の意味や関心事をもっと考えるようになった印象を受けるよ.
日本文化にとっていまは内省のとき,という感じが強くする.そこがアメリカと違うところだ.いまのアメリカには反省とか後悔とかはない,みんな,なんとか早く先に行くことしか考えていない.まあ,どちらの国もダイナミックだが,中身は完璧に違うね.文化的にもかなり違った印象がある.


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