ICC Report

TACHIBANA HP

ICC レジデンス・オン・ザ・ウェブ

第1回:立花ハジメ
http://hajime.ntticc.or.jp/



インターネットは急速に社会に普及し,より日常的なインフラストラクチャーへと浸透しつづけている.今後われわれは,インターネットそのものから驚きを感じることよりも,そこに盛り込まれた内容に意味を見出し,それとどう関わるのかが問い直されるのではないだろうか.

ICCのネットワーク活動もまた,大上段にネットワーク技術を見せるのではなく,より柔軟に,コミュニティをつくりだすための「広場」にしていく必要がある.この「広場」としてのインターネット活動の一つとして,「ICCレジデンス・オン・ザ・ウェブ」を10月より開始した.このプロジェクトは,アーティストが一定期間ヴァーチュアルなネット空間に滞在して作品を制作し,その成果を発表するものである.

その第1回として,立花ハジメによる6か月間のレジデンス企画をスタートした.グラフィック・デザイナーとして,またミュージシャンとしての活発な活動の歴史を,画像データや音声データを通じてたどることができる.また,期間中は毎月内容を更新し,最終的には膨大な作品を網羅した「立花ハジメ・アーカイヴ」として完成する.また,レジデンス期間中にはいわゆる「ホームページ」の枠を超えた,さまざまなイヴェントや実験を行なっていく予定である. 「ICCレジデンス・オン・ザ・ウェブ」は,始まったばかりであり,まだまだ発展途上である.現時点では,その最終形態がどのようなものになるのか,想像することは困難である.また,最終的な目標を掲げること自体,ネットワーク上のプロジェクトではナンセンスであろう.さまざまなジャンルのアーティストの参加により,多くの方向性が有機的に絡み合い,そこから新しい価値が生み出されることを期待したい.

(田所淳)

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