InterCommunication No.15 1996

Feature


ハイテク,美術館,新たなヴィジュアル・リテラシー 4/5

かしながら,ロンドンでの体験を吟味したアラン・シェスタックの意見は,これとは異なっている.「率直に言って,ロンドンのマイクロギャラリーは人にオリジナル作品を見たいという気を起こさせます.マイクロギャラリーの体験は,人をオリジナル作品に親しませるという美術館の主たる目標を支え,促進するものです」.
スもまた観客を引き込むためにテクノロジーを使う立場に立っている.彼はCD-ROMやWebサイトが,文化を効率よく大衆に流布させるうえでこれからますます重要な役割を果たすと考えている.ホイットニー美術館はオンラインによる情報提供を活用しているが,これはECHO(East Coast Hangout)[☆6]すなわちニューヨークをベースとする,インタラクティヴ・コミュニケーションを見込んだオンライン・サービスにそのホームページを展開している点で,他の美術館とは異なる独自性がある[☆7].ECHOの創設者ステイシー・ホーンはこのサービスを「情報スーパーハイウェイに沿ってある芸術と文化の停留所」だと考えている.『ニューヨーク・タイムズ』はECHOを「エレクトロニクスの美術展会場(サロン)」と評している.ロス自身もライヴ・チャット形式の「ホイットニー美術館アメリカ美術評議会」を主宰している.
らに,ホイットニー美術館はちょうど2番目のCD-ROMを完成させたところである.題して『ビート・カルチャーと新しいアメリカ』.50年代から60年代半ばにかけてのアメリカの街,コンサートホール,ギャラリー,コーヒーハウス,ナイトクラブを手軽に見てまわることができる.「これは私がいままでに見たなかで最も面白く,最も工夫に富んだ,最良のCD-ROMです」と言う.ロスはさらに加えて,プロデューサーであるレッド・ホット・オーガニゼーションのジョン・カーリンは「天賦の仕事を見つけた」と言う.
要なのはまさにその点だ.マイクロチップによる美術展でロスは言う.「現在のキュレーターたちが印刷媒体を理解している必要があるように,21世紀のキュレーターたちはこの分野に詳しくなくてはだめでしょうね.しかし,近い将来この二つのメディアがすっかり入れ替わってしまうなんて言うつもりはありません」.


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