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◎ エマージェンシーズ! 002《VP3L》 比嘉了 2006年 展示期間:2006年9月15日(金)—11月26日(日)

新進アーティストの作品を紹介する目的で開設された「エマージェンシーズ!」の二回目.比嘉了(ひがさとる)は,多摩美術大学大学院デザイン専攻大学院一年,サウンド&メディア・アート研究室に所属,オリジナルのプログラムやデバイスを用いたサウンド・パフォーマンスおよびソフトウエア・アートの制作研究を行なっている.

《VP3L》は,空間の概念をベースにした,リアルタイム音響プログラミング言語で,本来はパフォーマンス用のプログラムとして制作されたものである.コンピュータでシミュレートした三次元空間内に,プログラムの基本要素となるオシレーターやフィルターなどのオブジェクトの位置や組み合わせ方によってさまざまな音響を生成することが可能である.さらに,プログラミング上の空間と実際の音響空間が結びつけられており,プログラミング空間が実際の音響空間と対応するものとなっている.これによって,パフォーマーは,プログラム空間=音響空間を自由に移動し,さまざまな音響のパラメーターを操作することによって,仮想空間での音像の変化を現実空間において再現することができる.

比嘉は,二〇〇六年六月にパリで開催されたNIME(New Interfaces for Musical Expression)でも,ライヴ・パフォーマンスを行なっているが,今回は,観客がその音像操作を体験可能なインスタレーション版として改良したものが展示された.

インスタレーション版《VP3L》では,事前に用意されたさまざまな音のプログラム・パッチのサンプルを用意し,複数のあらかじめ構成されたオブジェクトを選択できるようにした.また,ゲーム・コントローラーを使用して観客が操作可能にし,ヘッドフォンでの簡易3D音像によって,プログラミング空間内を移動したり,オブジェクトの配置を変更したりすることで体験者が自在に音や音の聴こえ方を変化させていくことができた.

http://www.lalalila.org/

畠中実

* InterCommunication No. 60より転載