ICC
OS2015
展示作品
《マシュマロモニター》
2002年
岩井俊雄

撮影:木奥恵三

白いマシュマロのような形をしたオブジェに組み込まれたモニターには,外部のカメラによって撮影された自分の姿が映っています.しかし,その姿は,波打つように,あるいはギザギザに変形したり,水平な細い線状に分断されランダムに揺れ動いたりと,動きに伴って変形していきます.よく見てみると,止まっているものは変化せずに,動くものの姿だけが変化していることに気づくでしょう.これは,ヴィデオ・カメラで撮影された映像をコンピュータに取り込み,一画面を再描画する時間を遅らせることで生じる効果です.たとえば,ヴィデオの映像は1秒に30枚の画像からできています.その,1枚1枚の画像を書き換える時間を遅くすると,その間に動いた位置の変化が画面に軌跡として表示されるのです.

鑑賞者は,ヴィデオ・カメラの前で変化する自身の画像がどのように変化していくのかを見ながら体を動かし,作品と対話をするように行為をうながされます.この作品は,メディア・アートの特徴的な要素のひとつである相互作用性,参加性を持った,インタラクティヴ・アートの代表的な作品です.

岩井俊雄 プロフィール
1962年生まれ.1980年代初頭,大学入学後に実験アニメーション制作を始め,驚き盤やゾーイトロープといった映画前史の視覚装置から着想された作品や,音と映像を結びつけたインタラクティヴ作品などを数多く発表.2007年には,ヤマハと共同開発した電子楽器「TENORI-ON」が発売された.近年は,子供のための手作りによる玩具や絵本など,コンピュータを離れた制作を行なっている.
過去に参加した展示・イヴェント