ICC
OS2015
展示作品
《蟹足電輪塔》
2015年
和田永

《電輪塔》2015年 (参考図版)

蟹の足を模した形の塔に収められたブラウン管モニターが,さまざまな縞模様を映し出しています.その周りに置かれたラジオからは,映像のパターンと同期して,さまざまな音色の音が出力され,リズムを刻んでいます.

これらの映像は,モニターの映像端子に直接音声信号を入力して生成させたもので,縞模様の幅は,音声信号の周波数に対応しています.ブラウン管モニターに映像を映すと,微弱な電磁波が発生することが知られています.また,塔の上部に設置されたフラッシュも,放電時に電磁波を発生させます.ラジオは,これらの電磁波を受信して音に変換しています.出力元の音声信号は一種類ですが,ラジオのチューニング・ダイヤルの位置や個体特性,また電輪塔との距離などの要因によって,多様な種類の音色を抽出することができるのです.

この作品は,進行中のプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」から生まれました.古い電化製品を転用して楽器を産み出してきた和田が,さらにあらゆる人を巻き込みながら新たな楽器を創作・奏法を編み出し,徐々にオーケストラを形づくっていくというプロジェクトのなかで,蟹足電輪塔は複数本そびえ,人々がラジオを持って近づいたり遠ざかったりしながら空間で音をミックスしていく巨大なリズム・マシンとして構想されています.今回展示しているのは,その実験的第一歩という位置づけになっています.

和田永 プロフィール
1987年生まれ.ミュージシャン/アーティスト.古い電化製品を転用して新たな奏法を探り当て,コンピュータとも組み合わせながら音楽・美術作品の制作やパフォーマンスを行なう.2009年にオープンリール式テープレコーダーを操り演奏するグループ「Open Reel Ensemble」を結成.また,ブラウン管テレビを鍵盤打楽器のように演奏するプロジェクト「Braun Tube Jazz Band」としても活動している.国内外で公演や展示を多数展開中.
過去に参加した展示・イヴェント

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