ICC
OS2013
展示作品
《不可視関数試論》
1996年
中ザワヒデキ


撮影:木奥恵三

タッチパネルに表示された言葉をひとつ選択すると,その言葉が読み上げられると同時に電光掲示板に表示され,そしてブラウン管モニターにはコンピュータ・グラフィックスによるイメージがあらわれます.別の言葉を次々に連続して選んでいくと,最初に表示されたイメージにあらたなイメージが重なって表示されたり,最初のイメージが変形したり,移動したり,変色したり,増殖したりなどの効果があたえられたりします.

言葉は全部で120種類あり,一度に連続して20まで選ぶことができます.用意された言葉はなにかの意味を持ったものだけではなく,言葉の音としてのおもしろさなどからも選ばれており,組み合わされた言葉もまた意味の通った文章になるとは限りません.イメージもまた抽象的なものも含まれるため,意味するもの(言葉)と意味されるもの(イメージ)の関係はかならずしも対応したものにはなりません.

この作品は,言葉を選んで組み合わせることで文章を作ることができ,同時に,絵を描くことができる装置です.または,絵を描いたり動かしたりすることで,言葉を組立てることができる装置であるとも言えるでしょう.言葉は,あるイメージを表示し,さまざまな効果を実行するためのコマンド(指示)であり,プログラムという規則によって,言葉とイメージを見えない関係性によって組み合わせるための装置なのです.

中ザワヒデキ プロフィール
1963年生まれ.眼科医やイラストレーターを経てアクリル絵画(80年代)やコンピュータ・グラフィックス(90-96年)など,その職歴と知識を生かしたポップでユーモア溢れる作品を発表.96年,世界初のビットマップ3Dソフト「デジタルネンド」を制作.97年には,これまでの作風を一転させ,よりコンセプチュアルに美術の根本とは何かを問う独自の方法,理論に基づいた「方法絵画」を制作.2006年より「方法絵画」で禁じていた色彩を復活させた「本格絵画」を制作.
過去に参加した展示・イヴェント

チャンネルICC


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関連イヴェント


アーティスト・トーク
中ザワヒデキ

日時:2013年5月25日(土)
午後3時30分より[終了しました.]
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