ICC

オープン・スペース 2012

《66.86m》2003年
《扇風機/紙/扇風機》2007年
《もう1km》2009年
《月面で退屈している宇宙飛行士》2011年
《非現実的な登山家》2012年
ジョン・ウッド&ポール・ハリソン

上から:
《66.86m》2003年|撮影:木奥恵三
《扇風機/紙/扇風機》2007年
《もう1km》2009年
《月面で退屈している宇宙飛行士》2011年,《非現実的な登山家》2012年|撮影:木奥恵三

ジョン・ウッド&ポール・ハリソンの作品には,普段からよく見かけるような,ロープ,A4サイズの紙,扇風機,ランプ,椅子,段ボール箱といった日用品やさまざまな道具が登場します.しかし,それらは,その本来の目的とは少しちがう,どこか普段と変わったようすで使われています.このように,日用品の数々を新たな視点からとらえることで,もうひとつの隠された使用法があきらかにされ,また,それによって引き起こされたものの様態の変化に気づかせるものです.

たとえば,《もう1km》では,電動ヤスリがA4サイズの紙の束を削るように一枚一枚飛ばしていき,紙の束が紙の連なりによる長さ(1km)に変化する過程がとらえられています.《扇風機/紙/扇風機》では,紙が左右に置かれた扇風機からの風によって,その中央で直立します.

また,《月面で退屈している宇宙飛行士》には,月面で退屈そうに動作を繰り返すふたりの宇宙飛行士が,《非現実的な登山家》には,雲におおわれた山頂で途方に暮れたようすの登山家がふたり登場します.それは,最初の月面着陸あるいはエヴェレスト登頂などの,人類の偉業達成の物語を参照しながら,遊び心を持ちながら批評的に再演してみせることによって,どこか不可解な情景を生み出しています.

ジョン・ウッド&ポール・ハリソン プロフィール

英国を拠点に活動し,1993年より,彫刻,パフォーマンス,建築などの要素を取り入れたヴィデオ作品を共同で制作している.手作りのオブジェや日用品などを用いて,重力,風力,張力といった物理現象によって起こる出来事など,原因と結果によって提示されるようなシンプルなアイデアから,意外性に富んだ,ユーモラスな作品を制作している.