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アノニマス・ライフ 名を明かさない生命
《これが私の身体⋯、これが私のソフトウェア⋯》 1993/2007年
オルラン
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《これが私の身体⋯、これが私のソフトウェア⋯》 1993/2007年
国立国際美術館蔵
(C) ORLAN/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2012
オルランは自らの身体を使った美容整形手術をパフォーマンスとして行なってきました.手術中の様子は衛星回線を通じてニューヨークのギャラリーやパリのポンピドゥ・センターへ映像で配信されました.手術で切除された肉片を用いた作品を制作するほか,術後の傷口や腫れの変化を記録したポートレートが写真作品として発表されています.
手術室内は毎回ヴィーナスやディアナの装飾品などが飾られていますが,E.ルモワーヌ=ルッチオーニの『衣服の精神分析』のテクストをオルラン自身が朗読する儀式を経て,彼女の肉体はテクノロジーと刃物で切り刻まれていきます.
この展覧会では,一連のパフォーマンスを記録した14点組の写真作品のうち,8点を展示しています.
オルラン
1947年フランス,サント・エティエンヌ生まれ.パフォーマンス・アーティスト.
1990年から自身の肉体を使った整形手術の過程を「カーナル・アート(肉的芸術)」として見せている.彼女が自分の顔を整形手術することは一般に受け入れられている美のためになされるのではなく,それは自らの体をはった社会に厳然と残っているタブーに対するラディカルな挑戦として行なわれている.世界各地で数多くの個展やグループ展で作品を発表.
2010年フランス文化省より芸術文化勲章(シュヴァリエ)を授与された.