ICC

OPENSPACE 2011

展示作品

《石の見た夢》
2010年
《視界のデフラグ》
2008年
津島岳央

《石の見た夢》 《視界のデフラグ》 撮影:木奥恵三

《石の見た夢》は,プログラムによってリアルタイムに生成,描画される,3Dのコンピュータ・グラフィックスです.モチーフとなっているのは静物画ですが,作家は「動き続けることなしには成立しない,拡張された絵画」であるとしています.この作品では,対象物をある視点(カメラ)から見た時の奥行きに相当する数値が,描画された二次元平面を構成するピクセルの奥行きに置き換えられています.それによって,ピクセルが奥行き方向に粒子状に分散した状態が作り出されます.さらに,その周囲を環状にとりまく複数の新たな視点(カメラ)を設定し,それを順次切り替えていくことで,この映像が生成されています.

またその映像は,16世紀から17世紀にかけてフランドル,ネーデルラントで多く描かれた,ヴァニタスと呼ばれる「人生の虚しさ」を表わす寓意的な静物画をモチーフにしています.頭蓋骨や朽ちていく果物など,人の死などの運命をほのめかすオブジェクトが組み合わされることで,見るものに虚栄の儚さを喚起させるのです.《石の見た夢》におけるオブジェクトには,キャプチャによって制作された自身の頭蓋骨や自身の楽器などが選ばれており,作者の個人的な物語が込められたものになっています.

《視界のデフラグ》は,分散したピクセルのあいだに現われる隙間(ヴォイド)を補完しながらイメージする静止画作品です.

《石の見た夢》制作協力:野上大輔

津島岳央 プロフィール

1981年生まれ.光学技術への関心から,フェルメールや16世紀オランダ絵画を作品のモチーフとし,3DCGの手法を用いた映像インスタレーションを制作している.フェルメールの絵画空間をCGと立体視を用いて多視点で捉えなおす《Allegory of Media Art》で,第11回学生CGコンテスト インタラクティブ部門最優秀賞受賞.
http://www.factor1109.com/

チャンネルICC
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関連イヴェント
アーティスト・トーク
津島岳央
日時:2012年3月3日(土)午後2時より[終了しました.] |→詳細|