ICC

OPENSPACE 2011

展示作品

《テレプレゼント・ウォーター》
2011年
デイヴィッド・ボウエン

撮影:木奥恵三

グリッド状に組み合わされた構造物が天井から吊られ,波のように動いています.この動きは,海洋上に浮遊するブイで観測される波のデータを反映したものです.この会場では,アメリカ海洋大気圏局(NOAA)が公開するホノルルの南西約205海里(≒380km)に位置するブイのデータを利用しており,遠隔地の海洋の動きがほぼ1/12の縮尺で再現されています.

グリッド状構造物の上方には,構造物の動きを制御する機構部分があります.作者は,この機構部分も作品を構成する重要な要素と捉えています.機構は複数のユニットに分かれ,波の高さと周期の数値が,それぞれユニットの高さとユニットどうしの動きのディレイ(時間差)を制御するパラメータになっています.

この作品で作者は,波の動きを機械装置によって再現することによって,自然と人工物を対比させています.しかし,糸で繋がれている箇所があるため,構造体はときに予測不可能な動きを見せます.それは,機械が動いているのを見るというよりも,同じ動きが繰り返されることがない自然現象を見ることに近いといえるかもしれません.これによって,自然と人工物の境界線があいまいになり,「人工物の自然さ」のようなものを感じ取ることもできるのではないでしょうか.

デイヴィッド・ボウエン プロフィール

1975年生まれ.アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス出身.センサーや小型デヴァイスなどを用いて,テクノロジーと自然が奇妙に共生する作品を制作している.アルス・エレクトロニカ・フェスティヴァル,WROメディア・アート・フェスティヴァル,文化庁メディア芸術祭をはじめ,国内外の多くのグループ展やフェスティヴァルに参加.現在,ミネソタ・ダルース大学アート・アンド・デザイン学部准教授を務めている.
http://www.dwbowen.com/

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日時:2012年1月13日(金),14日(土)[終了しました.] |→詳細|