ICC

展示作品

《G-G-Gストア東京:ひとつの世界 3つのプレーヤー》
2004-10年
イェンス・ブラント

撮影:木奥恵三

ここには「地球を聴く」3つの装置,《Gプレーヤー》《G-Pod》《g-turns.com》が展示されています.それらは,地球の周りを回っている人工衛星によって収集されたデータをもとにして音を生成しています.音を視覚化する方法のひとつに,音を大きさや持続時間によって波形として表示する方法があります.これらのプレーヤーは,人工衛星から得られた標高データをもとにした,地形の断面図のような波形を読み取って音響化しているのです.

たとえば《Gプレーヤー》は,レコード盤に刻まれた音溝をレコード針でなぞることで音を再現するレコード・プレーヤーのように,地球をレコードのようにして聴くことができる装置です.地球を周回する1000以上のさまざまな人工衛星の軌道を選ぶことができ,その衛星の地球からの距離と位置によって変化する音響によって,あたかも地球をなぞっているように音響を聴くことができます.山脈部では音響が激しく変化し,海では高度の情報がないために無音になります.《G-Pod》はその携帯版で,《g-turns.com》では,ウェブから任意に選べる地点間の音を聴くことができます.作家は,これらの作品を製品として販売しているように見立て,作家の名前にちなんだ,架空のBRAND社によるショー・ルームのような空間に,3つのプレーヤーがディスプレイされており,それらは自由に操作して聴くことができます.

イェンス・ブラント プロフィール

イェンス・ブラントは,1968年生まれ.美術を学んだ後,実験音楽やサウンド・アートへと活動の領域を移した.以来,多数のインスタレーション,音楽パフォーマンス,インターメディア作品など,確立されたジャンルの境界を横断するような活動を行なっている.データの聴覚化,音響の視覚化といった,インターメディア的なアプローチによる作品や,音楽や美術といった固有の形式やメディアにとらわれない作風を特徴とする.

関連イヴェント アーティスト・トーク ゲープハルト・ゼンクミュラー,イェンス・ブラント
日時:2010年5月15日(土)午後2時より[終了しました.]|→詳細|