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展示概要・作品

Mission G
《オーサグラフ:ISSロングターム・トラッキング》
2009-10年
鳴川肇


撮影:木奥恵三

鳴川肇は,共同開発者らとともに,球面としての世界や空間全体を,写像を通して全方位的に矩形へと投射することができる画期的な表記法「オーサグラフ」を発明した.「オーサグラフ」は,個のポイントから世界や空間を360度を上回る全方位で表記することができ,教育,医療などさまざまな分野に応用される可能性をもっている.今回の展示では,「オーサグラフ」の成り立ちを解説するとともに,それを世界地図に応用することで,この表記法が開いた脱中心的な世界の見方を紹介する.「オーサグラフによる世界地図」は,メルカトル図法に代表される既存の地図表記法の欠点を補い,地表の形やサイズを正確に表記し,海を分割することもなく矩形に収まる世界で初めての地図である.この地図は,限りなくシームレスにつなぐことができ,それによって地図上のどのポイントからも全方位的な世界地図を切り出すことができる.また時間的な推移の表記が可能なため,たとえば地球環境の変移を長期的に一望することも可能である.《オーサグラフ:ISSロングターム・トラッキング》では,地図が連鎖的につなげられた壁面に,約90分で地球を一周するISS(国際宇宙ステーション)の軌道データを取り込み,軌跡を開館中ノンストップで描いていく.

鳴川肇 プロフィール
1971年生まれ.構造家,建築家.「オーサグラフ」を発明.芝浦工業大学,東京芸術大学およびベルラーへ・インスティテュート・アムステルダムの修士課程を卒業.1994年に「ゴールデン街の小劇場」でJIA卒業設計競技金賞受賞,同年幾何学理論の研究を開始,1996年に「テンセグリティー・モデリング・マニュアル」でサロン・ド・プランタン賞を受賞,その他受賞多数.アーネム建築アカデミー講師,佐々木睦朗構造計画研究所を経て,2006年NAL設立.

ムーヴィー制作:ビーグル株式会社
ISS トラッキング:ビーグル株式会社,Dr. T・S・ケルソ,CelesTrak
模型:株式会社 益基樹脂,株式会社 中川ケミカル
展示制作:横田和希,山田悦子,大治将典,門脇太一,小内昌也,北谷哲也,野見山晋弥,桑沢デザイン研究所SD分野
Thanks:柏井勇魚,GoogleSatTrack,セバスティアン・ストッフ,Orbitron
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「オーサグラフ」研究開発協同:平井正司,梶川泰司,市川創太,高谷彰之,遠藤治朗

関連イヴェント
シンポジウム「ミッション G」
日時:2009年5月16日(土)午後2時より[終了しました.]|→ 詳細|