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展示概要・作品

Mission G
《南極コーリング:昭和基地 Now》
2009-10年
協力:村上祐資+第50次南極地域観測隊+国立極地研究所


撮影:木奥恵三

1820年まで人類にとって存在しなかった大陸,南極.1911年にアムンゼンが南極点に到達し,各国が領土を宣言した時代を経て,南極は,1957-58年の国際地球観測年,1959年の南極条約の締結により,国や領域を超えた調査研究の場となった.現在この地は,地球環境や地球の起源を知り,また地球の未来を読み解くための観測と研究が学際的に行なわれる科学の最前線となっている.日本からは,2010年2月まで第50次南極地域観測隊が昭和基地に滞在し,極寒の環境の中で観測を行なっている.孤立した基地において隊員たちは,日々どのような経験をしているのだろうか.この展示では,隊員の一人である村上祐資から,現地での貴重な体験や思いをブログや映像,サウンドを通して伝えてもらう.それに加えて,隊員の作業ログや実際の観測データも随時公開していく.また日本と季節が逆で,6時間の時差がある昭和基地のリアルタイム映像も配信する.一部の人しか足を踏み入れる機会がなく,地理的にも情報的にもまだまだ遠い印象のある南極という現場のリアリティを,隊員個人の眼を通して感じてもらえる機会となるだろう.
第50次南極地域観測隊隊員 村上祐資氏のブログ「Field Note from Antarctica」
http://web.me.com/myusuke/Field_Note_from_Antarctica

村上祐資 プロフィール
1978年生まれ.極地建築学者.国立極地研究所・特任技術専門員.第50次日本南極地域観測隊に,地圏部門の隊員として参加.2010年2月まで南極に滞在し,地震観測やGPS観測を行なう.政策・メディア修士.東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程に在籍.南極や宇宙空間など,極限環境下の建築デザイン,ヒューマン・ファクターを専門とし,昭和基地のグラウンドデザインに関する調査研究にも携わる.

第50次南極地域観測隊
村上隊員を含む越冬隊(2008年12月—10年2月)28名,すでに帰国した夏隊(2008年12月—09年2月)18名の計46名で構成.半世紀を超える日本の南極観測史上初めて,日本の砕氷船がない中でのオペレーションを実施.日豪協力により,豪州砕氷船「Aurora Australis」での昭和基地への代替輸送を行ない,共同で海洋観測も実施.

国立極地研究所
極地に関する科学の総合研究と極地観測の推進を目的に,1973年に設立.昭和基地をはじめとする日本の南極基地,北極の基地での観測,また野外・海洋・航空機・衛星観測などにより,地球規模観測の重要な一翼を担うだけでなく,総合研究大学院大学をもち学際的研究を推進.教育現場などでのアウトリーチ活動も展開.2009年4月に立川に移転.

関連イヴェント
シンポジウム「ミッション G」
日時:2009年5月16日(土)午後2時より[終了しました.]|→ 詳細|