ICC
ICC キッズプログラム2008 君の身体を変換してみよ展
《伸びる腕》
2008年 ユーフラテス
椅子に座り,とても手の届きそうにない場所にある目標物(牛乳パック)に手を伸ばすと,投影された自分の腕は,予想を超えてぐんぐん伸びていってしまいます.伸びた腕が牛乳パックに到達したとき,手には実際に触れたような感覚が得られ,まるで自分の腕がすっかり長くなってしまったかのような感覚が生まれます.視覚と身体感覚のずれを体験できる作品です. ソフトウェア開発:安本匡佑
《翔べ!小さな自分》
2008年 齋藤達也+井高久美子(共に佐藤雅彦研究室)
まっすぐ立ったまま,手をパタパタさせると,小さな自分が飛び立ちます.ここにある自分の身体感覚が,映像の中の身体像(小さな自分)に憑依し,奇妙な浮遊感を感じることができます.視覚と身体運動の絶妙なマッチングによって,新しい身体感覚が生まれる作品です.
《21世紀如意棒》
2008年 勝目祐一郎(佐藤雅彦研究室),佐藤雅彦,桐山孝司
ビリヤードのキューのような棒を壁の穴の中へ入れると同時に,挿入された棒と同じ長さの線が画面に現れ,さまざまな図形や数字を描きはじめます.自分の持っている棒と画面の中の線は実際にはつながっていませんが,ふたつの動きが同期しているので,挿入された棒が自由に折れ曲がったり,画面の中をめぐっているような感覚が生まれます.
《点にんげん 線にんげん》
2008年 安本匡佑(桐山孝司研究室)+石川将也(トピックス),佐藤雅彦
スクリーンの前に立つと,あなたの動きが点や線のアニメーションとなって現れます.認知科学の知見「バイオロジカル・モーション」*を応用したこの作品は,あなたを「点にんげん」「線にんげん」に変換します.「点にんげん」にさまざまなできごとが降りかかったり,線だけの奇妙な生物「線にんげん」になる体験を通して,あなたの中にいままで感じたことのない感覚が生まれます. *バイオロジカル・モーション:生物の関節などの位置を示す点の動き だけで、脳が「生物的な動き」として、ひとまとめに認知してしまうことです(グループ化). サウンド・デザイン:菅俊一
《ミクロ職人修行》
2008年 ユーフラテス
ペン先を60倍まで拡大できる特殊カメラの映像を通して,極小サイズの「計算ドリル」に挑戦します.集中して問題を解いたのち,ふと自分の手元を見ると,想像よりもはるかに小さな文字を書いていたことに驚くでしょう.
「目の解像度=細かいものを判別する能力」よりも,「手の解像度=指先を制御する能力」が高いことに気づかされる作品です. 機材協力:GOKOカメラ株式会社
《計算の庭》
2007年 佐藤雅彦+桐山孝司
《計算の庭》は,計算の概念を身体を通してアクチュアル(=身体的・現実的)に体験できる作品です.数字が記されたRFIDタグ内蔵のカードを選んで身につけて庭に入ったのち,計算式が記されたゲートを通過するごとに自動的に行なわれる演算によって,選んだ数字が「73」になればこの庭から出ることができます.参加者は数や計算に関する新しい表象を持つことになります. 助成:財団法人中山隼雄科学技術文化財団
制作協力:大日本印刷株式会社,タカヤ株式会社,有限会社トータルインテリア スガハラ
グラフィック・デザイン:石川将也
ソフトウェア開発:安本匡佑
デバイス開発:藤田至一