ICC




《メディア・テクノロジー〜7つの記憶》
"Seven Memories of Media Technology"
1997
岩井俊雄
この作品は,ICC開館当初のコレクション作品として「一般の人々のメディア・アートやメディアを使ったコミュニケーションへの理解を助けるイントロダクションとしての性格」を持つものとして構想,制作されました.作品の中の標本箱に,フリップブック,フェナキスティスコープ(驚き盤),写真,テレビ,ヴィデオ,コンピュータ,オルゴール,という7種類のメディア・テクノロジーが収められています.これらのオブジェにハーフ・ミラーをインターフェースとしてコンピュータ映像を合成することで,それぞれのメディアの原型とコンピュータ・テクノロジーによるリメイクが提示されます.
岩井は,これまでアニメーションの原型であるゾーイトロープなど,映画以前の映像装置に深い関心を寄せ,そうした装置やメカニズムへの理解とともにそのオマージュというべき作品を制作してきました.これら7つの要素からなる本作は,岩井のいわば作家史の標本箱としての作品という側面も持っています.
岩井俊雄は,80年代初頭,大学入学後に実験アニメーション制作を始め,驚き盤やゾーイトロープといった映画前史の視覚装置から着想された作品や音と映像を結びつけたインタラクティヴ作品などを数多く発表している.またTV番組のキャラクターやCGシステムのデザイン,ゲームソフト,三鷹の森ジブリ美術館の映像装置を手がけるなど,活動は広範囲にわたる.近年では,ニンテンドーDS上で体験できるメディア・アート作品として《エレクトロプランクトン》を発表.

《メディア・テクノロジー〜7つの記憶》は2007年1月21日から3月11日まで展示されました.